はしがき

はしがき
 近年の図書館を取り巻く状況は、激しく変動しています。そのような状況に如何に対処していくかは、館種を越えて、各図書館にとっての緊急の課題となっているのではないでしょうか。そのためには、基礎的な図書館関連情報の収集、調査研究が必須となります。
 国立国会図書館では、従来から図書館及び図書館情報学分野の調査研究を行ってきましたが、平成14年度以降、その業務を関西館事業部図書館協力課が担当しています。図書館協力課では、図書館及び関連機関の協力を得て調査研究を行うとともに、広く情報を共有することを目指し、その成果を「図書館調査研究リポート」としてシリーズで刊行することとしました。
 平成14年度は、「デジタル環境下における視覚障害者等図書館サービスの海外動向」調査として、「デジタル環境下における欧米の視覚障害者等図書館サービスの全国的提供体制に関する調査研究」、「視覚障害者等図書館サービスにおける国際協力活動に関する調査研究」を行いました。本報告書はその成果をひとつにまとめたものです。
 各国における視覚障害者に対する図書館サービスは、インターネットをはじめとする情報通信技術の発展の影響を大きく受け、著しく変化しています。当館でも平成14年度から、学術文献録音図書のDAISY仕様による製作開始等、視覚障害者図書館サービス業務にデジタル技術を積極的に採用しています。今回の調査による各国の図書館及び国際機関の最新情報が、我が国の障害者図書館サービスに資するものとなれば幸いです。
 上記調査は、株式会社シィー・ディー・アイに委託しましたが、調査の実施にあたっては、北克一大阪市立大学学術情報総合センター教授(当時)を主査とした以下のメンバーによる研究会が担当しました。本報告書は、各メンバーが分担執筆しています。
主査:北  克一(大阪市立大学学術情報総合センター教授 第1章担当)
委員:河村  宏(日本障害者リハビリテーション協会情報センター長 第3章担当)
   深谷 順子(日本社会事業大学大学院博士前期課程 第2章担当)
   村上 泰子(梅花女子大学文学部助教授 第2章担当)
アドバイザー:服部 敦司(枚方市立楠葉図書館)   (以上 敬称略 所属は当時)
 本調査にご協力いただいた委員各位に改めて御礼申し上げます。
 本シリーズは、今後も当館が行った調査研究成果を公表するため、随時刊行していく予定です。関係各位の率直なご意見とともに、ご支援、ご協力をお願いいたします。
平成15年8月
関西館事業部図書館協力課長
児玉 史子