カレントアウェアネス-E
No.125 2008.03.26
E765
オンライン時代,図書館と博物館はどのように使われているか?
米国の博物館・図書館サービス機構(IMLS)が,博物館・公共図書館の利用に対するインターネットの影響に関する調査報告書「相互連結:図書館,博物館,インターネットの利用に関するIMLS全国調査(InterConnections: The IMLS National Study on the Use of Libraries, Museums and the Internet)」を刊行した。この報告書は,オンライン時代の今,どのように人々が情報を探すかを明らかにし,図書館・博物館とインターネットとの相互関係について分析している。この調査はIMLSが2006年にノースカロライナ大学チャペルヒル校と共同で成人を対象に行った5つの調査の結果を基にしており,それぞれの調査に対し1,000~1,600名が回答している。
報告書では,以下の3つを結論として挙げている。
- (1) 図書館・博物館は,このオンライン時代においても,最も信頼できるインターネット上 の情報源であると考えられていること。
- (2) 多様な情報ニーズを満たすため,また,ある情報源の利用が別の情報源の利用へと繋がることから,人々は図書館・博物館とインターネットを補完的に用いていること。
- (3) オンラインのサービスが直接利用の代替となるわけではなく,インターネットの利用と図書館・博物館への来館利用との間には明らかな相関関係があり,インターネットは図書館・博物館の来館利用を,実際には増大させている可能性がある。
米国で実施された別の調査結果ですでに,オンライン時代においても,図書館は問題解決のための情報源として一定の存在感を持っていることが明らかになっているが(E743参照),今回の調査結果では,インターネットと図書館・博物館は排他的な関係ではなく,補完的な関係にあり,保有している情報資源を多くの人に,多様な手段で提供していくために,図書館・博物館は来館サービスとともにインターネットを活用していく必要があることが確認された。
Ref:
http://interconnectionsreport.org/
http://www.imls.gov/news/2008/030608.shtm
E743