カレントアウェアネス-E
No.127 2008.05.14
E780
NCLIS,IMLSに統合
図書館情報学国家委員会(NCLIS)は1970年,米国合衆国法Public Law 91-35によって設立された連邦政府の独立機関であり,図書館情報政策に関する大統領,連邦議会,地方政府および公共/民間団体への助言,図書館に関する調査・研究や統計作成,全国の図書館・情報ニーズを満たす全体計画の立案などを行ってきたが,2008年3月30日をもってその活動を終了した。NCLISの役割は今後,博物館・図書館情報サービス機構(IMLS)が引き継いでいく。
ブッシュ大統領は2006年,2008会計年度までにNCLISおよび全米教育統計センター(NCES)の公共/州立図書館統計プログラムをIMLSに統合する案を提示した。これを受けてIMLSは2006年7月に3者の統合計画をまとめ,意見募集を行うとともに,統合のための必要経費を2008会計年度予算案に反映するよう議会に求めていた。NCLIS自身は独立した組織として存続することを望み,IMLSの統合案にも反対のコメントを提示していたが,2007年12月末に成立した2008会計年度予算案(E741参照)によって,NCLISの廃止が決まった。あわせて,図書館政策,調査,統計のための予算としてIMLSの事業費が196万5千ドル増額され,NCESの公共/州立図書館統計プログラムとともに,NCLISの業務がIMLSに正式に移管されることになった。なお,大学/図書館統計プログラムは引き続き,NCESが担当する。
NCLISではこの統合の動きが出てきて以来,存続/統合にかかわらず,今後の活動に生かすべく,これまでの活動を総括し,2008会計年度内に解決されるべき情報政策の課題を取りまとめていた。その成果であり,NCLISによる最後のレポートとなった“Meeting the Information Needs of the American People: Past Actions and Future Initiatives”により,37年間に渡り,米国民の情報アクセスを保証することの重要性,またそのために国がなすべきことを提言し続けてきたNCLISの足跡をたどることができる。レポートは最後に,今後調査すべき主要課題として,(1) 米国社会における公共図書館の変わりゆく役割と社会的価値の測定,(2) 電子図書館,(3) 蔵書構築と共有,(4) 防災計画と救援への取り組みの4点を挙げている。NCLISが果たせなかったこれらの課題の解決を,IMLSが引き継いで実施していくことが期待される。
Ref:
http://www.nclis.gov/
http://www.imls.gov/
http://www.nclis.gov/news/pressrelease/pr2006/NCLIS-IMLSconsolidation2006-04.pdf
http://www.imls.gov/news/2006/080206.shtm
http://www.imls.gov/pdf/ConsolidationPlan_draft.pdf
http://www.imls.gov/news/2006/091306.shtm
http://www.imls.gov/pdf/FY08_CJ.pdf
http://www.nclis.gov/news/pressrelease/pr2006/NCLISConsolidationResponse-2006-11.pdf
http://www.imls.gov/pdf/98-09-Appropriations.pdf
http://www.nclis.gov/about/MeetingtheInformationNeedsoftheAmericanPeople-NCLISFinalReport.pdf
E741