E902 – 図書館サポートスタッフの認定制度が2010年から開始(米国)

カレントアウェアネス-E

No.146 2009.03.25

 

 E902

図書館サポートスタッフの認定制度が2010年から開始(米国)

 

 全米教育統計センター(NCES)の2004年の統計によると,米国の学術図書館・公共図書館では23万人強が働いている。そのうち,図書館学修士号(MLS)を必要としない役職に就いている図書館職員である「図書館サポートスタッフ(Library Support Staff:LSS)」は,16万人強(約69%)を占める。これまでLSSに対する全国レベルの認定制度は存在しなかったが,ALA連携専門職協会(ALA-APA)では2007年から,博物館・図書館サービス機構(IMLS)の助成を受け,「LSS認定プログラム(Library Support Staff Certification Program:LSSCP)」の開発に取り組んできた。

 LSSCPでは,LSSに必要な能力を,(1) コミュニケーションとチームワーク,(2) 図書館サービスの基礎,(3) テクノロジー,(4)アクセスサービス,(5) 成人への読書相談サービス,(6) レファレンスと成人向けサービス,(7) 監督・管理,(8) 整理業務,(9) 若者向けサービスという9種類のコンピテンシーのセットに分類している。このうち,(1)から(3)を身につけていることが必須とされ,(4)から(9)は選択性で,6種類のうち3種類のコンピテンシーセットを有していることを証明する必要がある。

 現在のところ,LSSCPの志願者が認定に必要なコンピテンシーを有するかを評価する方法として,「認定コースの修了」と「電子的なポートフォリオシステム(E840参照)を利用した達成度の証明」の2種類が想定されている。

 前者では,厳格な承認プロセスを経てLSSCPのコンピテンシーセットを学ぶことができると認められたコース(図書館学校,州の図書館,州の図書館協会などが提供)を受講し,修了することによって,自分のコンピテンシーを証明することになる。今後,認定コースの提供者はリスト化され,LSSCPのウェブサイトで公開される予定となっている。

 後者では,過去の業務の経験,研修の受講歴,自己研鑽歴など,コンピテンシーの要件を満たすことを証明する事項をポートフォリオにまとめ,訓練を受けた評価員(図書館学校の教育者やライブラリアン)がこのポートフォリオをガイドラインに沿って評価する。

 また将来の就職活動などに役立てるため,上記の認定コースの修了歴,ポートフォリオ等,LSSCP志願者個々人の実績記録をウェブ上で一般公開する仕組みも整えられる予定となっている。

 ALA-APAはLSSCPの開始を2011年としていたが,基準の策定が早く進んだこと,LSSがプログラムに高い関心を寄せているというマーケティング調査の結果などを受けて,予定を前倒しして,2010年1月からの正式運用開始を目指している。

Ref:
http://www.ala-apa.org/lsscp/index.html
http://www.ala-apa.org/lsscp/LSSCPBriefingDocumentMW09.pdf
http://www.ala-apa.org/lsscp/lsscpmarketingsurveyanalysis.pdf
http://www.libraryjournal.com/article/CA6619749.html
E840