カレントアウェアネス-E
No.136 2008.10.01
E841
図書館職員の研修の充実方策について(報告)<文献紹介>
これからの図書館の在り方検討協力者会議. [文部科学省]. 図書館職員の研修の充実方策について(報告), 2008. http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/teigen/08073040.htm, (参照2008-9-29).
本報告書は,2006年9月に発足し,2008年6月まで活動した2006~2008年度の「これからの図書館の在り方検討協力者会議」(以下,協力者会議と略)による,図書館職員の研修の充実方策をまとめたものである。2004~2005年度の協力者会議では,2006年3月に「これからの図書館像―地域を支える情報拠点を目指して―」をとりまとめている(E478参照)が,本報告書は「これからの図書館像」を具体的に実現するための,次の一歩と位置づけられている。報告書は3章立ての構成となっている。その他に,資料として別紙1「司書等の研修体系について」,別紙2「図書館職員のキャリアパスのための研修のモデル」,そして要旨をまとめた「概要」,「参考資料」(注)も添えられている。
第1章「はじめに」では,図書館職員の養成・研修の検討の経緯から始まる。ここでは,図書館(職員)の現状と求められるニーズを踏まえ,これからの図書館職員は「(司書)資格取得時に身につけた図書館に関する基礎的な知識・技術をさらに深め向上させることが必要」であると,研修充実化の根拠を提示している。
第2章では,「図書館職員研修の充実方策についての議論の整理」を「研修の区分」,「研修の課題と改善方策」「研修の体系化」の3つの節に分けて行っている。第1節では,研修を「研修対象者」,「研修の領域」そして「研修の実施主体」の3つの観点から区分することで,「誰が」「誰に」「どのような」研修を「どのように」実施すべきかという議論の前提を明確にしている。続く第2節「研修の課題と改善方策」は本報告書の中心であり,それぞれの研修区分に当たる事例を引用しつつ,現在の研修の改善点を指摘している。また,研修/研修参加者に対する評価,研修に参加できる環境整備,研修内容の周知・普及などにも触れることで,継続的に研修を拡充させる方法にも言及している。第3節「研修の体系化」では,各種研修の効果的な実施のために,研修の実施主体ごとに担うべき役割が述べられている。
最後に第3章では「まとめ」として,「本報告を踏まえ,…研修の充実が図られ,…(図書館職員の)研修への参加が進み,図書館サービスの一層の向上が図られていくことを期待する」と結ばれている。
すでに知られているように,2008年6月の図書館法改正により第7条「司書及び司書補の研修」が新設された(E799参照)。「文部科学大臣及び都道府県の教育委員会は,司書及び司書補に対し,その資質の向上のために必要な研修を行うよう努めるものとする」というこの条文を,各研修実施機関は,努力目標と捉えるのではなく図書館界全体の活性化の契機と捉え,研修実施の指針として本報告書を積極的に活用することが望まれるだろう。
(注)参考資料は,2008年9月29日現在,ウェブサイトでは「準備中」となっている。
Ref:
http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/teigen/08073040.htm
E478
E700
E782
E799