E782 – 2007年度公立図書館における図書館職員の研修に関する報告書

カレントアウェアネス-E

No.127 2008.05.14

 

 E782

2007年度公立図書館における図書館職員の研修に関する報告書

 

 本報告書は,「2006年度公立図書館における図書館職員の研修に関する実態調査」(E647参照)の続編にあたる。これは,全国公共図書館協議会によって2006年度に実施された調査を基に,図書館職員の研修の基本的なあり方を探り,また体系的研修のあり方を提示することを目的とし,同協議会が作成・公表したものである。

 報告書は全5章からなり,各章のタイトルは,(1) 公立図書館における職員研修実態調査の分析,(2) 公立図書館における職員研修に関する事例,(3) 研修実施マニュアル,(4) キャリアパスに合わせた研修モデル,(5) まとめと提言:研修機会の保証と研修内容の高度化にむけて,である。概要は下記のとおりである。

 第1章では,これまでわが国で実施されてきた大規模調査(全6調査)と照らし合わせながら,2006年度調査の分析結果をまとめている。加えて,前回の調査報告書には未収録であった研修事例の分析も掲載されている。

 第2章では,2006年度の調査で,研修が特徴的であった8館について追加調査を行いその事例を紹介している。各研修の実例は詳述されており,他館の研修担当者にとっては今後の研修企画のヒントになるだろう。

 第3章は,「外部講師(講師謝金あり)による1日間の研修を想定」して作成された,研修実施マニュアルである。初任者研修,館内研修にあたって留意すべきことを別に記しており,マニュアルの適用に幅を持たせている。

 第4章では,「自治体で司書として雇用されている正職員を中心に,キャリアパスを合わせた研修モデル」を提案している。職員の実務年数を基準にそのキャリアを3段階(新任,中堅,ベテラン・管理職)に分け,それぞれのレベルに応じた研修のあり方を示している。

 最後に第5章では,2006年度調査で明らかになった図書館職員研修における問題点を指摘し,研修機会の保証と研修の高度化に向けて提言を行っている。

 終章で著者らが示したいくつかの提言―e-ラーニングの充実,研修のマニュアル化と教材のパッケージ化,研修担当者および研修講師育成のための研修など―は,決して手の届かない理想ではないだろう。「公共図書館が地域の学習・情報拠点としての役割を果たすために」不可欠な,図書館職員の資質向上に向けて,今後はこの提言を踏まえた研修の実施が望まれる。

Ref:
http://www.library.metro.tokyo.jp/15/15h2007.html
E647
E700