カレントアウェアネス-E
No.136 2008.10.01
E836
Google Book Search,新たに2つのAPIを追加
Google社は2008年9月22日,“Google Book Search”のAPIとして,新たに“Embedded Viewer API”“Book Search Data API”を公開した。またこれに合わせて,従来“Book Viewability API”という名称で公開されていた,Google Book Searchに動的にリンクを張るAPI(E764参照)を,“Dynamic Links”という名称に変更した。
Embedded Viewer APIは,Google Book Searchのデジタルコンテンツを,自分のウェブサイトに埋め込む(embed)ことを可能にするAPIである。ISBN,OCLC番号,LC番号など固有IDで特定したコンテンツを,Google Book Searchのウェブサイトに移動することなく見ることができる。表示する際のインターフェース言語を変更したり,3秒ごとに自動的にページ送りされるように表示したりするなどの機能も備わっている。
Data APIは,Google Book Searchに対し全文検索を行い,その結果から書誌データやユーザが付与したレイティング,レビュー,タグなどを取得することができるAPIである。またユーザ認証を経て,自分の「マイライブラリ」(E698参照)内のデータの操作(レビューの追加等)も行うことができる。提供されるデータのフィード形式はRSS 2.0,Atom 1.0,および両者を基盤にした独自プロトコルの3タイプをサポートしており,OpenSearchやDublin Coreに対応した形でデータを取得することも可能である。主にウェブサイト開発者・プログラマー向けのAPIと位置付けられている。
またこれらのAPIを組み合わせて利用することも可能である。例えば,(1) Dynamic Linksを用いて,当該のIDを有するコンテンツが存在することをチェックした上で,Embedded Viewerを用いてウェブサイト内に表示する,(2) Data APIを用いて,入力された任意の語・文でGoogle Book Searchを全文検索し,得られた検索結果のうち最初のものをEmbedded Viewerを用いてウェブサイト内に表示する,という2例が,Google Book Searchのウェブサイトで紹介されている。
さらに,Embedded ViewerまたはDynamic Linksを利用して,初心者でも簡単にウェブサイト内にコンテンツまたはコンテンツへのリンクを表示できるよう,入力フォームに必要事項を入力するだけでコードを自動生成できる対話式ウェブサイト“Preview Wizard”も作成されている。このような対話式ウェブサイトとしては,入力された任意の語・文を含むコンテンツの表紙画像を並べて表示する“Book Bar”も公開されている。
これらのAPIはすでに,出版社・著者やソーシャルブックサイトのほか,OCLCのWorldCatやカリフォルニア大学図書館,テキサス大学図書館など図書館界でも利用されている。これら各者がどのようにAPIを活用しているかについては,Google社の特設ウェブページから知ることができる。
Ref:
http://code.google.com/apis/books/
http://code.google.com/apis/books/docs/getting-started.html
http://code.google.com/apis/books/docs/viewer/examples/
http://booksearch.blogspot.com/2008/09/book-search-everywhere-with-new.html
http://code.google.com/apis/books/casestudies/index.html
E698
E764