カレントアウェアネス-E
No.125 2008.03.26
E770
NDL,和図書劣化に関する調査結果を公表
国立国会図書館(NDL)はこのほど,2005~2006年度に実施した和図書の劣化傾向に関する調査結果をまとめた『図書館調査研究リポート』No.8をウェブサイト「カレントアウェアネス・ポータル」で公表した。
NDLでは,開館時間の拡大や書誌データの遡及入力の進捗,遠隔複写サービスの拡大などを背景に,資料の利用が増大している。これに伴い,資料の破損も急増し,深刻化してきた。その全てに処置を施すのは予算・人員の制約上困難であるため,資料群ごとに劣化傾向を把握し優先的な処理を必要とするものを特定するとともに,効果的な処理方法・劣化を未然に防ぐための保存対策等の検討に資するべく,本調査を行った。
本調査では,保存の優先順位が高い納本資料を多く含む和図書のうち,マイクロフィルムへの媒体変換が未実施である1950~1990年代刊行分について,10年ごとに5つの群に分け,各群からサンプルを無作為抽出し,本文紙の状態(物理的強度,酸性度,変色など)および製本の形態・状態についてのデータを収集した。『図書館調査研究リポート』本編には,本調査の概要・項目・結果・考察を収録している。またウェブサイトでは,調査対象とした資料の書誌データおよびその調査結果も,あわせて公開している。