E723 – NIHのパブリックアクセス方針に関する法案,法制化ならず

カレントアウェアネス-E

No.118 2007.11.28

 

 E723

NIHのパブリックアクセス方針に関する法案,法制化ならず

 

 2007年11月13日,米国ブッシュ大統領は,米国国立衛生研究所(NIH)の助成による研究のパブリックアクセス化を求める条項や,図書館関連の歳出が盛り込まれた「2008年9月30日に終了する歳出年度における米国連邦労働省,保健社会福祉省,教育省および関係機関に対する予算措置,ならびにその他の目的に関する法律(FY08 Labor-HHS Bill)」案(E712参照)に対する拒否権を行使した。同法案は10月23日の上院可決後,修正点に関する下院とのすり合わせを経て,11月8日,ブッシュ大統領に送付されていた。

 ブッシュ大統領は拒否権行使の理由として,同法案に示された支出金額が,予算教書よりもおよそ100億ドル(約1,1兆円)多くなっており,健全な支出をもたらす歳出法案と考えるには不十分であることを挙げている。ブッシュ大統領は同法案の議会上程以来,予算教書から超過した歳出法案であるとして,拒否権行使の方針を示していた。

 ブッシュ大統領の拒否権行使をうけて11月15日,同法案を発議した下院において再議決が行われたが,賛成277票に対し反対141票と,拒否権行使を覆すために必要な議院の3分の2の賛成にわずか2票足りなかった。

 オープンアクセスに関するニュースサイト“Open Access News”を運営する米アラハム大学のズーバー(Peter Suber)氏は,今後,歳出法案について歳出額を削減する方向での修正が行われるだろうとしながら,NIHの研究助成成果のパブリックアクセス化条項は歳出法案のごく一部に過ぎず,既に上下両院の超党派の合意や行政部門に属する共和党員の支持を受けていること,ブッシュ大統領の反応がマイルドであること,政策変更に関する条項であることを挙げ,成立に楽観的な見方を示している。一方,米国図書館協会(ALA)は,図書館関連の歳出額削減阻止にむけたアドヴォカシーを展開している。感謝祭休暇明けにも再上程される歳出法案の行方が注目される。

Ref:
http://thomas.loc.gov/cgi-bin/bdquery/z?d110:HR03043:
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2007/11/20071113-6.html
http://www.the-scientist.com/news/display/53858/
http://www.earlham.edu/~peters/fos/2007/11/house-fails-to-override-bush-veto-of.html
http://www.wo.ala.org/districtdispatch/?p=290
E712