カレントアウェアネス-E
No.118 2007.11.28
E724
「図書館をうるさくする」プロジェクトが賞を受賞(英国)
とある夕方,ホットなバンドの激しいライブ・パフォーマンスに,大勢の若者が熱狂する。この光景がライブハウスではなく,公共図書館で展開されたなら・・・。これをきっかけに,若者の図書館利用が増加したら・・・。
英国博物館・図書館・文書館国家評議会(MLA),文化・メディア・スポーツ省(DCMS),読書協会(Reading Agency),図書館長協会(Society of Chief Librarians)などが推進する,図書館振興のための取り組み“Love Libraries”キャンペーン(E471参照)が新たな活動として,ティーンや25歳以下の青年層向けに実施した,図書館利用の促進につながる図書館サービスを表彰する“Love Libraries Award”を開始した。第1回Love Libraries Awardには,図書館内で新人有名ロックバンドのライブを開催した,イングランド中部のランカスター(Lancaster)図書館のプロジェクト“Get it loud in Libraries”が選ばれ,10月3日,英国図書館(BL)で開催された授賞式で,トロフィーと賞金2千ポンド(約45万円)が贈られた。
Love Libraries Awardへのエントリーは6月29日まで行われ,全イングランドの公共図書館当局の約3分の1を超える,48機関から応募があった。MLA,読書協会などの代表者4名からなる審査委員会は,最終候補として5機関を選定し,8月13日から9月14日まで開催された一般投票により,受賞館が選ばれた。
Get it loud in Librariesのライブ・パフォーマンスに参加したとある若者は,「図書館でお気に入りのバンドを目にするとは思ってもいなかった。
音楽の力なのか,翌日も休日に読む小説を借りるために,図書館へ足を運んだ」と語っている。「ミュージックライブラリアン」のパーソンズ(Stewart Parsons)氏は,「Get it loud in Librariesの核心は,若者,とりわけ音楽を愛するティーンに,図書館という空間の中でわくわくした時間を過ごしてもらい,小説・音楽・インターネット・静寂な時間など,とにかく図書館をもう一度利用することを心に留めてもらうところにある。また有名なバンドを独特な雰囲気をもつ,伝統的な図書館の環境に引き入れ,あらゆる年齢層を対象に,音楽を楽しんでもらうことは,閉館時間後の図書館スぺースを有効活用する最善の利用法だ。そしてこのプロジェクトは,(図書館という)安全で快適な環境を活用して,ティーンたちに最新の興奮感を与えるものである」と述べている。
図書館利用の少ないティーンやヤング・アダルト層に対しては,ダンスパーティーなどのイベントや,SNSなどを利用した図書館サービスの提供(CA1618参照)を通じた,図書館への注目度や利用度を高める取り組みがなされている。若者の目を図書館に向けるための取り組みに加え,その手法の共有や評価についても今後の研究や実践が期待されよう。
Ref:
http://www.lovelibraries.co.uk/
http://www.lovelibraries.co.uk/lovelibrariesaward/index.php
http://www.lovelibraries.co.uk/lovelibrariesaward/lancaster_library.php
http://www.lovelibraries.co.uk/files/Love_Libraries_Award.doc
http://www.lovelibraries.co.uk/files/Love_Libraries_award.doc
http://www.lovelibraries.co.uk/files/Love_Libraries_Award_winner.doc
http://www.mla.gov.uk/website/news/press_releases/libraries_winner2
http://www.lancashire.gov.uk/libraries/index.asp
E471
CA1618