E680 – 学校図書館メディアスペシャリストの配置を求める法案(米国)

カレントアウェアネス-E

No.111 2007.08.08

 

 E680

学校図書館メディアスペシャリストの配置を求める法案(米国)

 

 複数の研究成果から米国では,学校図書館がおこなうメディア教育と生徒・児童の学習達成度の間には相関関係が存在し,各州の認定を受けた学校図書館メディアスペシャリストが配置されている学校では,配置されていない学校と比較して学習達成度が高いとの分析が,明らかにされている。だが学校図書館メディアスペシャリストが配置されている公立学校は,全体の約60%に過ぎないのが現状である。

 2007年6月26日,米国連邦議会に「子どもの学習と図書館に対する関心を強化する法律案(Strengthening Kids’ Interest in Learning and Libraries Act;SKILLs Act)」が提出された。この法律案は,2002年に制定された「1965年初等中等教育法改正法(NCLB法)」を改正するものである。

 具体的には2011年度を目処に,各公立学校に,各州が認定した学校図書館メディアスペシャリストを配置するとともに,教員や校長と同様の職員研修,専門能力開発,採用方式の対象とすることを明記している。またNCLB法と同様に,各公立学校への財政支援の実施が定められているほか,学校図書館の資料について,学年や,必要とされる特別な学習支援(英語を母語としない子どもへの英語学習支援など)に対応し,かつ学習への興味をひきつけるようなものを整備することが要求されている。

 この法律案の提出が明らかにされたのは,ALAのバーガー(Leslie Burger)会長と数名の図書館員が,リード(Jack Reed)上院議員,およびグリハルバ(Raul Grijalva),エラーズ(Vernon Ehlers)下院議員のもとに,2007年度米国図書館協会(ALA)年次大会(E669参照)の一環として陳情に訪れた際であった。ALAおよび傘下の米国学校図書館協会(AASL)は法律案の成立に向けて,会員に連邦議会議員への陳情活動を呼びかけている。

Ref:
http://thomas.loc.gov/home/gpoxmlc110/h2864_ih.xml
http://www.ala.org/ala/washoff/washevents/woannual/annualconfwo.cfm
http://www.ala.org/ala/pressreleases2007/june2007/skillsactpr.htm
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2007/june2007/skillsact.cfm
http://www.capwiz.com/ala/issues/alert/?alertid=9951101
http://www.ala.org/ala/aasl/aaslissues/SKILLS_Act.cfm
E669