カレントアウェアネス-E
No.111 2007.08.08
E675
新潟県中越沖地震による県内図書館の被害状況と現状
2007年7月16日,新潟県中越沖を震源とする大規模な地震が発生し,図書館も大きな被害を受けた。新潟県立図書館のまとめによると,最も被害が大きかったと思われるのは,柏崎市立図書館,刈羽村立図書館,新潟工科大学附属図書館で,前二者は地震発生翌日の17日に,新潟工科大学も18日に,開館の目処が立たないとして当面の休館を発表した。
柏崎市立図書館は,蔵書27万冊の約9割が落下・散乱,書架にもゆがみや傾斜が生じた。建物自体にも損傷が見られ,玄関引き戸がゆがみのために開かなくなったり,ブックポスト部の雪よけ屋根には落下の恐れがみられるという。その後,職員やボランティアスタッフによる復旧作業の甲斐あって,1階開架部分と2階メディアホールに限ってはいるが,8月1日より開館している。刈羽村立図書館も蔵書の散乱や建物の損傷がひどかったものの,その後の復旧作業により,子ども図書館は8月3日から開館しており,一般図書館も8月10日の開館を予定している。新潟工科大学附属図書館は,蔵書5万冊の約9割が落下,AV機器や建物の損傷という被害を受けた。時期が大学の休講期間と重なっていることもあり,9月30日まで臨時休館し,復旧作業を進めていくとのことである。
図書館が今回の地震のような大規模な災害に見舞われたとき,その後の復旧作業や資料の保全活動を円滑に行うためには,各地の被災状況の把握と共有が重要になる。今回の地震において,大きな被害に遭いながらも,発生直後にウェブサイトから休館情報を発信した各図書館の対応と,県下の各館の被災状況を迅速・詳細にとりまとめ,過去分も含めて情報提供した新潟県立図書館の対応は高く評価できよう。
また,他の動きとしては,7月20日,新潟県教育庁と新潟県立文書館が連名で,各市町村に被災した文書等の歴史資料の取扱いに留意するよう依頼する通達「被災「文書等」の取扱いについて(お願い)」を出している。被災した文書等は復旧可能な場合が多いため,容易に廃棄しないよう求めるとともに,雨や水にぬれてしまったものの対応方法などを示している。この通達にあわせ,柏崎市立図書館,長岡市立中央図書館も,被災した文書を簡単に捨てず,扱いを館へ相談するよう,ウェブやお知らせのチラシを通じて呼びか けている。これらは,行政が被災した資料の救援(CA1630参照)にいち早く乗り出したものとして注目される。
Ref:
http://www.pref-lib.niigata.niigata.jp/
http://hysed.human.niigata-u.ac.jp/rescue/modules/news/article.php?storyid=1
http://lib.city.kashiwazaki.niigata.jp/
http://www.lib.city.nagaoka.niigata.jp/monjo/index.htm
http://www.rapika.or.jp/Contents/ePage.asp?CONTENTNO=280&PNO=103
http://www.niit.ac.jp/lib/
CA1630