カレントアウェアネス-E
No.95 2006.11.22
E567
2007年のCILIPの研修
英国の図書館・情報専門家協会(CILIP)の研修事業が拡大を続けている。
CILIPは2002年4月の発足以来,母体となった英国図書館協会(Library Association: LA)の活動を引き継ぎ,英国の図書館員のリカレント教育において中核的な役割を担っているが(CA1491 参照),このたび公開した研修要覧『Training Directory』(PDF)では,2007年に開講が予定されている合計120コース(9分野)にわたる講座の概要が示された。このほか,5名以上の参加希望があれば,出張研修会も行っている。
全体としては,目録・分類,著作権・ライセンシング,ICTスキル・インターネットスキルなどはもちろんのこと,財務管理・パフォーマンス管理,管理者啓発,マーケティングなどのカテゴリーが設定されている。このカテゴリーのそれぞれに,基盤的なスキルから現代的な課題まで,現場の図書館員が必要とされる様々なコースが,ラインナップされている。特に,今年新たに加わった37コースは,例えば,図書館員が法律調査に関するスキルをどのように教えるか,子どもの情報リテラシー教育において図書館がどのような役割を果すべきか,公共図書館の利用者を増加させるための効果的なアウトリーチ活動の方法はどのようなものか,など,いずれも英国の図書館員のニーズに応えるものと思われ,興味深い。
講師は,コースリーダー“Course Leader”とよばれ,専門性だけでなく,対話を主導する力のあるとされる人物が選ばれている。また,各コースは1〜2日で完結するようになっており,1日コースのものには,ビュッフェ形式の昼食会もある。CILIPの研修は,対話・ディスカッションを通じた学習と人的ネットワークの構築に焦点をあてており,現在直面する課題の解決力の育成に力点を置いていることがうかがえる。
CILIPは,『コーポレートプラン2006-2009』で戦略的目標の第一として,図書館員の研修に言及するなど,力を注いでいる。今後も,その動向は大いに参考にすべきであろう。
Ref:
http://www.cilip.org.uk/training/training
http://www.cilip.org.uk/training/training/Trainingdirectory.htm
http://www.cilip.org.uk/aboutcilip/annualreport/corporateplan2006.htm
CA1491