カレントアウェアネス-E
No.89 2006.08.23
E529
米国併合前の公文書はだれのもの?−テキサス州で訴訟勃発
アラモ砦に立てこもった将軍が書いた物資の受領証は,一体だれのもの・・・? 先日,米国テキサス州立図書館・公文書館委員会(Texas State Library and Archives Commission)は,1830〜50年代のテキサスに関する歴史的文書48通の返還を求めて,これらの文章を現在保持していると思われる個人と財団を訴えた。
被告は,これらの文書を保持していることを否定しなかったものの,どのように入手したかについては説明しなかった。また被告側弁護士は,テキサス州が米国の一部になる1845年以前にこれらの文書は作成されており,州政府が合法的に奪い取れるものではないと主張している。
一方,図書館・公文書館委員会の担当者によると,一年以上前にオークションに出品されていることをきっかけに,今回の紛失に気づいたという。担当者は,これらの文書がもともと,テキサス州州務省から移管された州の記録文書であり,したがってテキサス州民の手に帰するものであると主張している。たしかに今回問題となっている文章は,テキサス独立運動期である1830年代の記録が11通,テキサス共和国,もしくはテキサス州が支払った補償に関連する記録が37通となっており,すべてテキサス州の歴史に関する記録文章である。
担当者はまた,これらの文書が紛失した経緯について詳細は不明としたものの,1970年代初頭の,まだ管理がさほど厳しくない時期に,盗まれたものではないかと考えている,と語っている。担当者のコメントによると,70年代にはおよそ1,000通の歴史文書が紛失しており,一部は2004年にオークションに出品され,売却されてしまったという。
Ref:
http://www.dallasnews.com/sharedcontent/APStories/stories/D8IT5A7O3.html
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2006abc/july2006a/texassues.htm
http://www.kwtx.com/home/headlines/3360511.html