カレントアウェアネス-E
No.75 2006.01.18
E436
中国・上海図書館,映画関連資料をデジタル化
中国・上海図書館は1月,「上海年華」(上海メモリー)と題するデジタルコンテンツの一部として「映画の記憶」を部分公開した。
19世紀後半から英・仏等の列強が租界を形成し,中国における西洋文化の窓口のひとつであった上海はまた,中国映画の発祥地でもある。昨年,中国映画誕生百周年を迎えたことを機に,上海図書館は1921年から1949年までの映画資料を収集し,デジタル化を行っている。中国で1949年以前に撮影された映画は3千本以上あったにもかかわらず,現在見られる状態にあるのは100本に満たない。そこで,1949年以前の中国語の映画雑誌をデジタル化し,往時の状況を伝えようとするものである。
「映画の記憶」はさらに2つに分かれており,研究者向けの「中国現代映画雑誌全目書誌」として雑誌の解題,目次,テキスト入力された本文,一部ページのデジタル画像が,一般向けの「中国映画スター録」として各映画の監督・キャストなどのデータや,当時の映画スターの略歴,写真などが,それぞれ提供されている。各コンテンツは相互にリンクが張られており,また一部の映画については音声や映像も見ることができる。
現在,1年あまりで収集・整理・加工した映画雑誌約100誌,映画スター約20名分のデータが提供されているが,最終的には300誌,100名程度まで達する予定であるという。ハクモクレンと懐中時計の瀟洒なページデザインも,何案も作成しては没にしながら完成させたとあり,上海図書館の意気込みが感じられる。年内には,「上海年華」のもうひとつのコンテンツとして,2万5千枚の写真で上海の歴史を振り返る「写真上海」も提供される予定である。
Ref:
http://memoire.digilib.sh.cn/SHNH/
http://www.library.sh.cn/japanese/news/list.asp?id=806
http://www.library.sh.cn/news/list.asp?id=2150
http://whb.news365.com.cn/sy/t20051022_692278.htm