E397 – フランス納本制度の改定作業進む

カレントアウェアネス-E

No.69 2005.11.02

 

 E397

フランス納本制度の改定作業進む

 

 フランスでは,1993年のデクレ(政令)等に規定された現在の法定納本制度を,2006年から改定する検討が進められている。中でも,フランス国立図書館(BnF)によるインターネット資源収集への動きと並んで,納本部数の削減が大きな変更点となっている。

 フランスでは現在,出版者が4部,印刷者が2部納本することがデクレ(Decret no 93-1429)によって定められている。出版者からの4部は,1部目がBnF,2部目がビュッシー・サン・ジョルジュにある高等教育図書技術センター(CTLes)の保存庫(これは提供されない保存専用資料である)に納められ,3部目以降は,パリのサント・ジュヌヴィエーヴ(CA927参照)を始めとする大学図書館や,内容に応じて専門分野の図書館に寄贈されたり,国内外の交換用資料として用いられる。印刷者からの2部は,国内各地域の29の納本図書館に納められそこで提供されると共に,図書館間貸出等にも利用されている。

 今回の改定は,2部目以降の納本資料が,経費を始めとする理由により法定納本にふさわしい十分な管理・提供状況にないという認識のもと,部数を削減して納本する側・される側双方の負担を軽減し,少数の納本資料を厳格・確実に管理・提供するということが目的である。

 新しい制度のもとでは,出版者2部,印刷者1部の納本となる。出版者からの1部目は引き続きBnFで保管・提供されるが,2部目をCTLesで保管する制度は廃止され,従来3部目以降を充当していた国内外への寄贈・交換に用いられる。これについては,部数の削減により従来通りに入手できなくなる図書館・機関が発生するため,各々対応を迫られることとなる。また,印刷者からの1部のみの納本分は,各地域の納本図書館において提供される一方で,保存用資料としての位置付けが強化されることとなり,分担収集・保存の傾向が強まったと言える。

Ref:
Le depot legal passe a deux exemplaires. Livres Hobdo. (617), 2005-10-14. 72-73.
http://www.bnf.fr/pages/infopro/journeespro/JBDLI.htm
http://www.bnf.fr/pages/infopro/journeespro/pdf/poles_pdf/poles2005_pdf/plazannet.pdf
松浦茂. フランスの納本制度. 図書館研究シリーズ. (34), 1997, 125-149.
CA927