カレントアウェアネス-E
No.58 2005.05.18
E325
親に子どもへの貸出記録を開示する法律(米国)
米メーン州では,州内の公共図書館および州立の議会・大学図書館は親の請求に応じて子どもへの貸出記録を開示しなければならないとする法案が2月に提出され,議会で審議されている。現行の州法では読書の秘密が規定されており,本人の同意か裁判所命令がない限り,開示してはならないとしている。これに基づき,図書館員が延滞図書の引き取りに戸別訪問した際,親に資料名を伝えられないとしたことがきっかけとなり,17歳未満の子どもをもつ親あるいは後見人に対してはこの例外とする今回の法案が作成された。
同種の法律は,ここ数年の間に全米各州で相次いで成立している。2004年までにアラバマ,フロリダ,ルイジアナ,オハイオ,サウスダコタ,ウェストヴァージニア,アラスカ,ウィスコンシンなどの各州で立法化され,2005年1月にもワイオミング州で可決された。また,コネチカット,イリノイ,ニュージャージーなどの各州でも審議中である。
フィルタリングソフトの導入(E246参照)など子どもの情報へのアクセスを制限する動きが論議を呼ぶ微妙な問題となっている中でもあり,子どもを保護する親の権利と子ども自身のプライバシーの間で,読書の秘密を謳ってきた図書館界はどう対処するのか,難しい局面が訪れている。
Ref:
http://pressherald.mainetoday.com/news/statehouse/050318libraries.shtml
http://janus.state.me.us/legis/LawMakerWeb/summary.asp?LD=618
http://www.library.cmu.edu/People/neuhaus/state_laws2.html
http://www.libraryjournal.com/article/CA411149
E246