E2856 – 「国立国会図書館書誌データ作成・提供計画2026-2030」(素案):書誌調整連絡会議<報告>

カレントアウェアネス-E

No.516 2026.01.15

 

 E2856

「国立国会図書館書誌データ作成・提供計画2026-2030」(素案):書誌調整連絡会議<報告>

国立国会図書館収集書誌部収集・書誌調整課・小野塚由希子(おのづかゆきこ)

 

  2025年10月16日、国立国会図書館(NDL)は、令和7年度書誌調整連絡会議(E2794ほか参照)をオンラインで開催した。この会議は、国内外の書誌調整に関する最新情報を関係者・関係機関等と共有することを目的とし、毎年行われているものである。今回は、2025年度に最終年度を迎えた「国立国会図書館書誌データ作成・提供計画2021-2025」(以下「書誌計画2025」;CA2006参照)の後継の書誌計画について有識者及び関連機関と意見交換するため、「国立国会図書館書誌データ作成・提供計画2026-2030」(素案)(以下「素案」)をテーマとして取り上げた。

●「書誌計画2025」の総括及び「素案」の報告

  最初に、NDL収集書誌部収集・書誌調整課の村上一恵から、現行の「書誌計画2025」の総括として、これまで5年間で実施した書誌データの作成と提供の改善について報告した。「書誌計画2025」では、「国立国会図書館ビジョン2021-2025:国立国会図書館のデジタルシフト」(以下「デジタルシフト」)を踏まえて、書誌データの充実と利活用の拡大を目指した様々な取組を進め、おおむね計画策定時点に想定したとおりの成果を上げた。

  NDL収集書誌部の清水悦子からは、「素案」の概要と課題について報告した。NDL全体では、「デジタルシフト」の次のビジョンを検討中であり、「素案」も、その方向性を踏まえ、全国書誌の「拡張」、有体資料と無体資料の組織化作業の一元化などに取り組むほか、関係機関との連携による典拠コントロールの拡充などを重点的に行っていくとした。

●「素案」への有識者意見

  NDLからの説明を受け、有識者4人から「素案」への意見が示された。意見の要旨は次のとおりである。

  • 大向一輝氏(東京大学准教授)

      「書誌と典拠で捉える知的活動」という観点から、書誌と典拠の整備を通して人々の知的な活動を捉えるとの目標をメッセージとして出せるとよいのではないか。書誌と典拠の機能には見直しと再構成の検討が必要であり、両者の情報を、永続するもの(出版の事実や個人が個人であることなど)と、時代に応じて変化するもの(出版物の管理主体や個人の活動履歴など)に大別すると、前者については、ID体系の整備と管理が必要であり、後者については、変化を捉えていくためのデータの構造の類型化と管理が必要になる。変化に向き合う姿勢を社会に伝えていくことが、デジタルシフトの本質あるいはAI時代の信頼の源泉になるのではないか。

  • 木村麻衣子氏(日本女子大学准教授)

      素案へのコメントとして、BIBFRAMEは一つの選択肢であるものの、国際的にはMARCでの流通が当面継続すると予測される。国内では館種によって書誌データのフォーマットが異なっているため、一律BIBFRAMEを採用し相互運用を図れば効率的な利活用が見込まれる。その実現のためには、NDLの強いリーダーシップに期待したい。

  • 中井万知子氏(日本図書館協会分類委員会委員長)

      NDLでは国立国会図書館法第7条に基づき、日本国内で刊行された出版物の書誌データを、NDL所蔵資料を対象に作成し提供し続けてきた。「素案」では「全国書誌の「拡張」」と表現しているが、目指すところは「拡張」ではなく、「本来の全国書誌」の追求ではないか。また、国立国会図書館サーチでの共通のデータフォーマットは「国立国会図書館ダブリンコアメタデータ記述(DC-NDL)」であるが、日本目録規則2018年版(NCR2018)由来のデータ項目が一部しか反映されていないため、将来的な目録機能の実現プロセスを注視したい。

  • 渡邊隆弘氏(帝塚山学院大学教授)

      素案への私見として、書誌コントロール活動に望むことを整理すると、「資料のもつ利用可能性を最大限に顕在化」(NCR2018 #0.4 目録の機能)させるということに集約できる。具体的には、一元的・統合的な情報発見環境、典拠コントロールの拡充による可能な限り網羅的な集中機能、可能な限り豊かな「関連」情報、幅広い相互運用性などの機能を、一定程度分散化された作成環境のもとで実現して欲しい。その他、納本されていない地域資料などに全国書誌収録対象を拡張することや、著作典拠の拡充にも期待したい。

●自由討議

  最後に、出席者による自由討議を行った。「素案」のうち国内典拠の共同提供による典拠コントロールの拡充について、実現には典拠データの一貫性を保つために典拠IDの維持管理・共有が重要との意見があった。また、有体資料と無体資料の組織化作業の一元化に向けた取組に関連して、有体資料は紙を管理し、無体資料はデータを管理するという資料管理の方法の違いに困難があるとの意見のほか、特に国内の電子出版物のメタデータについて、NDLで作成する質の高いデータへの期待が寄せられた。

  なお、書誌計画2030素案本文も含め、会議の概要と資料は、NDLウェブサイトに掲載している。

Ref:
“令和7年度書誌調整連絡会議”. 国立国会図書館.
https://www.ndl.go.jp/data/basic_policy/bib_control/conference/2025_report
国立国会図書館収集書誌部. 「国立国会図書館書誌データ作成・提供計画2026-2030」(素案). 2025, 4p.
https://www.ndl.go.jp/file/data/basic_policy/bib_control/conference/2025_report/bib_r7_resume3.pdf
国立国会図書館書誌データ作成・提供計画 2021-2025. 国立国会図書館, 2021, 5p.
https://www.ndl.go.jp/file/aboutus/policy/bibplan2025.pdf
“国立国会図書館ビジョン2021-2025―国立国会図書館のデジタルシフト―”. 国立国会図書館.
https://www.ndl.go.jp/aboutus/vision_ndl
“Bibliographic Framework Initiative”. Library of Congress.
https://www.loc.gov/bibframe/
“国立国会図書館ダブリンコアメタデータ記述(DC-NDL)”. 国立国会図書館.
https://www.ndl.go.jp/jp/dlib/standards/meta/index.html
“第0章 総説”. 日本目録規則2018年版. 日本図書館協会目録委員会編. 日本図書館協会, 2018, p. 3-18.
https://www.jla.or.jp/wp/wp-content/uploads/2025/06/ncr2018_00_202405.pdf
小野塚由希子. 典拠データの現状と将来:書誌調整連絡会議<報告>. カレントアウェアネス-E. 2025, (502), E2794.
https://current.ndl.go.jp/e2794
大原裕子. 「国立国会図書館書誌データ作成・提供計画2021-2025」の取組事項. カレントアウェアネス. 2021, (349), CA2006.
https://current.ndl.go.jp/ca2006