E2850 – 夕張市拠点複合施設「りすた」と「りすた図書館」について

カレントアウェアネス-E

No.515 2025.12.18

 

 E2850

夕張市拠点複合施設「りすた」と「りすた図書館」について

夕張市りすた図書館・平井由美子(ひらいゆみこ)

 

  夕張市拠点複合施設「りすた」(北海道)が2020年3月1日にオープンし、その中の「図書コーナー」として、夕張市りすた図書館が翌2日に開館した。それから5年が過ぎた現在、上手く回りだした部分と、まだまだ改善の余地がある部分を抱えている。

●拠点複合施設「りすた」について

  夕張市拠点複合施設「りすた」は、「笑顔とにぎわいがこだまする街」という基本理念の下、整備された施設である。多世代が集まる開放的な待合交流スペース、さまざまな利用に対応できる多目的室、子育て世代が集まる乳幼児スペース、子どもがにぎわう児童スペース、集中して勉強ができる学習スペース、スポーツと発表鑑賞のための多目的ホール、オープンな図書コーナーなどの機能を併せ持つ。また、バス待合所も兼ねているため、年間をとおして6時30分から21時まで開館している。

●「りすた図書館」について

  その中の図書コーナーである「りすた図書館」は視線が通る開放的な空間とし、子どもや高齢者に配慮したゆとりある書架の配置となっている。その蔵書は、2007年3月に閉館した市立図書館の蔵書を3分の1に減らして保健福祉センターに設置されていた旧図書コーナーのものを引き継いでいる。日曜・祝日休館、利用時間は平日9時から18時・土曜日は9時から16時となっているが、オープンスペースとなっているため、休館日であっても施設が開いている時間帯は自由に館内閲覧ができる。

●コロナ禍の開館

  2020年3月は新型コロナウイルス感染症の流行が始まった時期とかさなり、予定されていたオープンセレモニーは中止となった。しかも、開館後ほどなくして緊急事態宣言が発令されたため休館となってしまい、旧図書コーナーとの利用される図書の傾向の違いを実感することや、異なる利用者層の拡大を期待していただけに、残念なスタートとなった。

  その後、施設利用者および図書コーナーの新旧利用者によって、年々にぎわいを増している。

●試行錯誤のルール作り

  りすたでは待合交流スペース・子どもスペースと図書コーナーとが区切られていないため、子どもスペースでにぎやかに遊ぶ子どもたちがその流れで図書館においても騒いだり、バスを待つ高齢者の大きな声が聞こえてくる問題はあるが、図書館の利用者ではない施設の利用者に対して注意する難しさがある。スマートフォン・携帯電話の使用に関しても同様で、禁止とはしていない。それでも、児童スペースとホール以外では走らないというルールを設け、子どもたちには注意してきた。

  また、開館時のルールでは、飲食禁止としていたが、市民の協力による「まちあいカフェ」と図書館の閲覧場所が同一のため、現在では飲食可とし、「本や雑誌・新聞を読みながら食事をするのはご遠慮ください。」と張り紙をするにとどめている。

●現在の様子

  りすたへのさまざまな目的の来訪を見据え、人々が集まる待合交流スペースに近い場所に、季節ごとにテーマを決め図書の展示をしている。そのテーマ展示の図書に興味を持った市民が新たな利用者として貸出登録をするようになったほか、館内に滞在して資料を閲覧する利用者も大幅に増えた。

  図書館で走る子どもは減ってきているが、一般利用者の話声は大きく聞こえ、それでも気にせず新聞や雑誌を読む利用者がいる一方で、少しでも静かな環境を求める利用者は、学習スペースを利用している。ここの学習スペースは学生に限らず誰でも利用できる。

  また、郷土資料もよく利用されている。市外からの利用が多く、旧産炭地の調査や昔住んでいた地域がどうなっているかといった調べ物が主となっている。

●今後の課題

  人口減少が続く夕張市であるが、高齢化率も高く、図書館を利用したくても利用できない市民が多いと思われる。高齢者施設には巡回文庫として月に一度配本しているが、個人の家庭に届けるにはどのような方法があるか、引き続き考えていきたい。

  加えて、図書館の休館日も自由に出入りして閲覧可能なため書架の乱れが目立ち、誰でもわかりやすい配架の工夫が必要となる。

  郷土資料においては、いつでも誰でも見られる開架資料と、閉架書庫にある貴重資料があり、司書がいない時間帯にも、りすたに常駐している教育委員会職員が対応できるように、郷土資料目録を作成中である。

  ここ最近はりすたの多目的室や展示スペースは認知度も高まり、市民がさまざまな目的で利用している。りすた図書館においても、市の中心的な複合施設内にあるという利点を生かし、以前の図書館・図書コーナーの存在を知らなかった市民に対しても、さらに利用を促す工夫をしていきたい。

Ref:
“りすた図書館”. 夕張市.
https://www.city.yubari.lg.jp/site/risuta/1734.html
“拠点複合施設りすた”. 夕張市.
https://www.city.yubari.lg.jp/site/risuta/
豊かな交流と気軽な学びの場をつくる~笑顔とにぎわいが生まれる施設~. 夕張市教育委員会, 13p.
https://www.city.yubari.lg.jp/uploaded/attachment/6818.pdf