カレントアウェアネス-E
No.476 2024.03.21
E2681
令和6年能登半島地震による図書館等への影響
関西館図書館協力課調査情報係
2024年1月1日、石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6(暫定値)の地震が発生し、様々な被害が生じた。本稿では、2024年3月1日までの情報を基に、地震の影響を受けた図書館等の状況を中心に紹介する。
●図書館への影響と図書館の対応
石川県をはじめ、新潟県、富山県、福井県内の多くの公共図書館、大学図書館が臨時休館を発表した。その後、多くの館では1月中に再開が発表された。石川県立図書館は、石川県内の各図書館の状況をまとめたほか、この地震に関連した同館のサービスについての情報を発信するウェブページを作成した。県立長野図書館も、県内各館の状況をまとめたページを作成した。小矢部市民図書館(富山県)、氷見市立図書館(富山県)は、被災時の状況を撮影した写真を公開したほか、富山県立図書館、黒部市立あおーよ図書館(富山県)は復旧前後の様子を公開している。
令和6年(2024年)能登半島地震に関連した図書館サービスの制限等について(石川県立図書館)
https://www.library.pref.ishikawa.lg.jp/category/notice/4096.html
令和6年(2024年)能登半島地震からの復旧・復興(石川県立図書館)
https://www.library.pref.ishikawa.lg.jp/category/booksearch/4119.html
能登半島地震に伴う各館の状況(新潟市の図書館, 2024/1/21)
https://www.niigatacitylib.jp/?page_id=505
令和6年能登半島地震に関する長野県内図書館の状況(県立長野図書館, 2024/1/9)
https://www.knowledge.pref.nagano.lg.jp/now/news/kennai_240105.html
令和6年能登半島地震による臨時休館について(小矢部市民図書館, 2024/1/4)
https://oyabe-lib.jp/news/post-153.html
図書館だより令和6年1から3月号 その2 [PDF : 1.7MB](氷見市立図書館)
https://www.city.himi.toyama.jp/material/files/group/30/tosyokndayoriR61-3-2.pdf
★通常どおり令和6年1月5日(金)から開館しました。★(富山県立図書館, 2024/1/5)
https://www.lib.pref.toyama.jp/info/svInfoDtl.aspx?servno=1517
復旧作業完了しました!(黒部市立図書館, 2024/1/5)
https://www.kurobe-lib.jp/news/cat/post_23.html
いまだ休館している館もある。矢田郷地区コミュニティセンター図書室(石川県七尾市)が休館している。石川県輪島市の輪島市立図書館、門前図書館、町野分館も休館しているが、「わじま電子図書館」は利用可能であるとしている。穴水町立図書館(石川県)も当面の間休館するとしている。
七尾市立図書館
http://lib.city.nanao.lg.jp/
輪島市図書館トップページ(輪島市, 2024/2/1)
https://www.city.wajima.ishikawa.jp/docs/lib/
穴水町立図書館
https://anamizu-lib.cous.jp/WebOpac/webopac/index.do
再開後も一部利用制限のある館がある。七尾市立図書館(石川県)は、午後1時から4時30分までの時間短縮開館であり、能登町柳田教養文化館(石川県)は、館内への立入りはできず、貸出しに関する問合せを電話で受け付けている。新潟県立図書館は、落下により破損した資料は、修理が完了するまで利用できないとしている。
七尾市立図書館
http://lib.city.nanao.lg.jp/
図書館の利用について(1月30日から当面の間)(能登町, 2024/1/31)
https://www.town.noto.lg.jp/www/info/detail.jsp?common_id=20973
能登半島地震に伴う県立図書館の対応(令和6年2月8日現在)(新潟県立図書館, 2024/2/8)
https://www.pref-lib.niigata.niigata.jp/blogs/blog_entries/view/1962/f652c3db05886f0d1aff8cbeb3dc6673?frame_id=1152
再開後の取組として、石川県立図書館が1.5次避難所のいしかわ総合スポーツセンターで図書を提供しているほか、内灘町立図書館(石川県)が避難所に避難している人を対象に貸出本の配達を行った。富山市立図書館では、珠洲市(石川県)から2次避難している人を対象に図書館資料やボードゲームなどの貸出しを行った。
@iskw_pref_lib(X, 2024/2/15)
https://twitter.com/iskw_pref_lib/status/1757932738500497622
図書館からのお知らせ 避難所配達、蔵書点検臨時休館等(内灘町, 2024/1/23)
https://web.archive.org/web/20240204071552/https://www.town.uchinada.lg.jp/site/earthquake/15752.html
@toyama_city(X, 2024/2/9)
https://twitter.com/toyama_citylib/status/1755834160185307379
大学図書館では、金沢大学附属図書館の自然科学系図書館の蔵書の一部が復旧作業中のため利用できないほか、富山大学附属図書館では一部の資料が利用できない。
能登半島地震の影響による利用制限について(金沢大学附属図書館, 2024/1/9)
https://library.kanazawa-u.ac.jp/?p=44610
令和6年能登半島地震対応状況(富山大学附属図書館, 2024/2/29)
https://www.lib.u-toyama.ac.jp/r6eq/
●博物館等への影響
博物館、美術館、資料館等についても、多くの館が臨時休館を発表した。その後ほとんどの館が再開したが、現在も休館中または利用に一部制限のある館が見られる。石川県能登島ガラス美術館(石川県七尾市)、石川県輪島漆芸術美術館(石川県輪島市)は休館中である。永井豪記念館(石川県輪島市)は、建物は焼失したが展示物は焼失を免れた。金沢21世紀美術館は、展覧会ゾーン等が当面休場中であるが、交流ゾーンは利用可能である。
石川県能登島ガラス美術館
https://nanao-af.jp/glass/
臨時休館のご案内(石川県輪島漆芸美術館, 2024/1/30)
https://www.art.city.wajima.ishikawa.jp/archives/1408
@Dynamicpro_info(X, 2024/1/25)
https://twitter.com/Dynamicpro_info/status/1750444123755315676
令和6年能登半島地震に伴う美術館の対応について(3月1日現在)(金沢21世紀美術館, 2024/3/1)
https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=61&d=429
書店の状況については、日本出版取次協会が被災状況をまとめている。
【第11報】令和6年1月1日能登半島地震 書店被災状況(日本出版取次協会, 2024/3/1)
https://www.torikyo.jp/topics/data/20240301/index.html
●被災地・被災者を支援する動き
日本医学図書館協会は、被災地へ支援を提供している会員館をウェブサイトで公開した。
能登半島地震被災地支援情報(日本医学図書館協会, 2024/1/25)
https://jmla1927.org/info.php?q=13986
1月9日付けで、鳥取県立図書館は「災害情報に関するリンク集(地震に関する情報)」を改訂した。京都市は、被災地からの避難者に対する図書館カードの発行のほか、七尾市(石川県)の市民向けに図書館の電子書籍サービスを提供している。
災害情報に関するリンク集(地震に関する情報)(鳥取県立図書館)
https://www.library.pref.tottori.jp/info/post-59.html
京都市図書館の電子書籍サービスの提供について(京都市教育委員会, 2024/2/5)
https://www.city.kyoto.lg.jp/kyoiku/page/0000322537.html
大学図書館については、国立大学図書館協会(JANUL)が、被災した館から提供された情報及び被災地域の学生・教職員向けに会員館が行っている支援内容をウェブサイト上でまとめている。
令和6年能登半島地震の被害状況(2024.1.17現在)(JANUL, 2024/1/17)
https://www.janul.jp/ja/news/20240105
令和6年能登半島地震:会員館での被災地域の学生・教職員向け支援(随時更新)(JANUL)
https://www.janul.jp/ja/news/20240111
科学技術振興機構(JST)は、被災者や復興支援者等のためにJ-GLOBALに登載されている地震関連の文献情報等が閲覧できるようにしたほか、情報科学技術協会(INFOSTA)は『情報の科学と技術』誌を当面の間、無料公開すると発表した。
地震関連のJ-GLOBAL収録情報をご覧いただけます。(J-GLOBAL, 2024/1/16)
https://jglobal.jst.go.jp/news/6073
この度の震災を受けて、当協会の雑誌「情報の科学と技術」を当面の間、無料公開することといたしました。(INFOSTA, 2024/2/2)
https://www.infosta.or.jp/posts/2024notoearthquake_jkg/
日本図書教材協会と全国図書教材協議会は、被災により使えなくなった分の児童・生徒用教材を無償提供するとしたほか、文部科学省は、民間事業者から無償で提供されている動画教材等のコンテンツへのリンクを提供した。
プレスリリース:能登半島地震における被災児童・生徒の滅失教材の無償提供について(日本図書教材協会・全国図書教材協議会, 2024/1/17)
https://nit.or.jp/news/%e3%83%97%e3%83%ac%e3%82%b9%e3%83%aa%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%82%b9%ef%bc%9a%e8%83%bd%e7%99%bb%e5%8d%8a%e5%b3%b6%e5%9c%b0%e9%9c%87%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e8%a2%ab%e7%81%bd%e5%85%90%e7%ab%a5/
令和6年能登半島地震 学習支援コンテンツ等(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/mext_00092.html
●被災資料保全のための動き
歴史資料ネットワーク(CA1743参照)は、1月8日に緊急事務局体制に移行し、被災した歴史資料に関する相談を受け付けている(2月21日に通常体制に復帰)ほか、文化財の被害や資料に関する情報提供を行っている機関をまとめている。合同会社AMANEらは、1月4日に「令和6年能登半島地震被災資料対応WG」を設立し、1月19日にはウェブサイトを開設して歴史資料の相談に応じている博物館等をまとめている。独立行政法人国立文化財機構文化財防災センターは、2月9日付けで文化財レスキュー事業と文化財ドクター派遣事業の開始を発表した。
令和6年能登半島地震について(歴史資料ネットワーク, 2024/2/21)
https://siryo-net.jp/info/202401-disaster/
歴史資料のご相談(令和6年能登半島地震被災資料対応WG)
https://20240101noto.amane-project.jp/%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E8%B3%87%E6%96%99%E3%81%AE%E3%81%94%E7%9B%B8%E8%AB%87
令和6年能登半島地震に係る文化財レスキュー事業と文化財ドクター派遣事業の開始について(文化財防災センター, 2024/2/15)
https://ch-drm.nich.go.jp/facility/2024/02/6-1.html
●被災状況を記録する動き
読売新聞社が、東京大学の渡邉英徳研究室から学術指導を受け、ウェブサイト「令和6年能登半島地震被災状況マップ」を公開した。東京大学先端科学技術研究センター身体情報学分野稲見・門内研究室が、珠洲市(石川県)でストリートビューの撮影を実施し、2月にGoogleストリートビューで公開された。
令和6年能登半島地震被災状況マップ(読売新聞社)
https://storymaps.arcgis.com/stories/f9dc1fce8ce3421d92b97a8bf2e697b1
石川県珠洲市においてストリートビューの撮影を実施(東京大学先端科学技術研究センター身体情報学分野稲見・門内研究室, 2024/2/16)
https://star.rcast.u-tokyo.ac.jp/suzu-street-view/
●図書館等関係団体の動き
図書館について、日本図書館協会(JLA)図書館災害対策委員会は、ウェブページ「令和6(2024)年能登半島地震 関連情報」及び「被災された図書館の皆様へ」を公開した。
令和6(2024)年能登半島地震 関連情報(JLA)
https://www.jla.or.jp/committees///tabid/1058/Default.aspx
被災された図書館の皆様へ(JLA)
https://www.jla.or.jp/committees///tabid/1059/Default.aspx
学校・社会施設等については、文部科学省が被害情報をまとめたページを公開した。
令和6年能登半島地震について(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/notohantoujisin/
博物館・美術館等については、全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)が、会員機関の被災状況を公表している。2月19日には、全国美術館会議が事務局内に対策本部を設置し、救援活動への参加を呼び掛けた。また、saveMLAKは、博物館・美術館のほか、図書館、文書館、公民館の被害状況をまとめた特設ページを開設した。
令和6年能登半島地震 資料保存利用機関等被災状況(全史料協)
http://jsai.jp/rescueA/Noto2024/202401EQ.html
能登半島地震 対策本部より救援活動参加登録のお願い(全国美術館会議, 2024/2/19)
https://www.zenbi.jp/data_list.php?g=91&d=829
2024年(令和6年)能登半島地震(saveMLAK)
https://savemlak.jp/wiki/2024%E5%B9%B4%EF%BC%88%E4%BB%A4%E5%92%8C6%E5%B9%B4%EF%BC%89%E8%83%BD%E7%99%BB%E5%8D%8A%E5%B3%B6%E5%9C%B0%E9%9C%87