E2244 - 情報ナビゲーター交流会:第8回開催までの歩み

カレントアウェアネス-E

No.388 2020.03.26

 

 E2244

情報ナビゲーター交流会:第8回開催までの歩み

ビジネス支援図書館推進協議会/鳥取県立図書館・小林隆志(こばやしたかし)

 

●概要

 2011年11月11日,東京タワーの正面に立つ機械振興会館(東京都港区)において,「第1回産学官民!!情報ナビゲーター交流会」が開催された(第5回からの名称は「情報ナビゲーター交流会」)。当日は,予定の定員を遥かに超える105人の参加があり,この企画に対する関心の高さを示した。情報ナビゲーター交流会とは,ビジネス支援図書館推進協議会(2000年12月設立)と一般財団法人機械振興協会経済研究所が主催する,全国の公共図書館員と主に都市部の専門図書館員の館種を超えた交流会(名刺交換会)である。2020年6月13日には第9回の開催を予定している。本稿は,この情報ナビゲーター交流会の目的と概要を報告するものである。

●専門図書館の存在価値の向上策と全国の公共図書館の機能向上へ

 2018年2月,独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)のビジネスライブラリー(東京)が突然閉館した。良質な世界のビジネス情報を提供してきたこの館の実績は疑うべくもない。この閉館という出来事は,いかに専門図書館の置かれている立場が脆弱であるかを物語っているのではなかろうか。旧機械工業図書館(現BICライブラリ)も同様の危機を経験している。2010年頃,今後この図書館を存続させるかどうかを経済産業省の関係者も含めて検討された。得られた結論は幸いにも「存続」であり,一層の資料の充実と環境整備に加え,全国の公共図書館をレファレンスで支援するという存在価値を示していくという内容であった。このBICライブラリの結論は,専門図書館の存在意義を分かりやすく表現する一つのモデルになり得ると考えている。

 BICライブラリの事例は,全国の公共図書館にとっても歓迎すべきものである。全国の公共図書館にビジネス支援サービスが広がっていく中,専門的なレファレンスに対応していくために情報提供機能の強化は最も重要な課題である。この課題克服のための一つの解が,特色あるコレクションと人的ネットワークでサービスを展開している各種専門図書館との強固な協力関係を構築することである。普段交流する機会の少ない地方の公共図書館の職員と都市部の専門図書館の職員が互いのサービス内容や課題などを語り合い,いざという時に備えて信頼関係を構築しておくことこそが情報ナビゲーター交流会開催の目的である。

 過去8回の交流会で自館の取組を発表した図書館は,公共図書館は埼玉県立図書館,広島市立図書館など延べ10館,専門図書館は,防災専門図書館,市政専門図書館(CA1792参照),旅の図書館(E1859参照)など延べ30館を数える。これに加え,図書館員以外の講演・話題提供・パネルディスカッションなどの登壇者は,経営学者である法政大学の坂本光司教授,『つながる図書館』の著者でジャーナリストの猪谷千香氏,日本にエコノミックガーデニング(企業誘致に頼るのではなく,地域の企業活動を育てていくという発想に基づく手法)の考え方を紹介した拓殖大学の山本尚史教授など50人を超え,多くの人に支えられて開催してきた。

 8回という回数を重ねることによって,何人もの専門図書館員から,「こういう会が本当に必要なんだ」「我々の活動を知っていただく機会となってありがたい」というような声を聞く機会が増えてきた。ようやく本来の趣旨が専門図書館の職員にも浸透しつつあるのではという,ある意味での達成感であると同時に,開催初期に感じていた,この活動は必ず必要とされるはずという確信は誤りではなかったという思いである。

 図書館の世界で,当たり前のように語られている館種を超えた図書館同士の連携について,本当の意味でこの環境を実現しようとする動きは少ないのではと感じている。微力ながらもうしばらくこのイベントの開催を続けていくことが,その一助になればと願う。このイベントの趣旨に賛同する多くの図書館関係者の参加を願うものである。

Ref:
http://www.business-library.jp/category/activity/subcommittee/navigator/
E1859
CA1792