E1676 – 研究データ同盟第5回総会<報告> 

カレントアウェアネス-E

No.281 2015.05.21

 

 E1676

研究データ同盟第5回総会<報告>

 

 2015年3月9日から11日にかけて,「障壁なきデータ共有」をスローガンとする研究データ同盟(RDA;E1531参照)の第5回総会が米国のサンディエゴで開催された。RDAには95か国から2,800名弱が登録しているが(第5回総会時点),今回はそのうち383名の参加があった。RDAはおおむねBirds of a Feather(BoF),Interest Group(IG),Working Group(WG)という3種類の分科会から構成されており,議論の進度に応じて,BoF,IG,WGと段階が進む。第5回総会時点ではWGが16,IGは38設置されていた。1年前の第3回総会時点に比べてWGはさほど増えていないが,IGは倍近くに増えたことになる(E1566参照)。

 創設から3年目を迎え,RDAでは,WGの活動の成果物(「提言(Recommendation)」)への関心が高まっている。第5回総会は,「成果物を採用する」(Adopt-A-Deliverable)と題された。同総会に先立つ1月には,「永続的識別子情報タイプ(PID Information Types)」と「データファウンデーションと用語(Data Foundation and Terminology)」の2つのWGが「提言」を発表し,現在RDA全体でこれらをレビュー中である。

 RDAの参加者にはデータ共有に関心のある研究者が多いが,図書館員の参加も少なくない。参加者全体の1割は図書館員であり,図書館員が議長を務めるIGもある。また,これまでBoFだった「研究データのための図書館(Libraries for Research Data)」が今回からIGに昇格している。同IGが開催した分科会では,米国のカリフォルニア工科大学,カナダのアルバータ大学,オーストラリアのグリフィス大学それぞれの図書館から報告があった。そこでは,図書館による研究データへの関わり方や,図書館が研究データに関わることが求められる時代に即した組織の再構築,組織の壁を超えた活動の必要性などが指摘された。その後,質疑応答とパネルディスカッションが行われ,図書館員のITや統計に関するスキルの再トレーニングなどが話題となった。この分科会における議論からは,海外においても研究データ管理等についてはまだ模索中であって,結論が出る段階ではないという印象を受けた。なお,第5回総会には国立国会図書館(NDL)以外の国立図書館では英国図書館,ドイツ国立図書館,フィンランド国立図書館からの参加があったが,同分科会において,残念ながらこれらの図書館からの報告はなかった。

 このほか今回の総会では,「メタデータ標準ダイレクトリ(Metadata Standards Directory)」WGからメタデータスキーマを収録したダイレクトリ(総覧),「データサイテーション(Data Citation)」WGから特定の時点・箇所のデータを引用可能とするためのパイロットプログラムなど,種々の試みが報告された。それらの一部はすでにRDAのウェブサイト等で公開されており,誰でも自由にアクセス可能である。

 RDA総会は,IG,WGがネット上などで行っている議論を踏まえた中間報告の場に近い。分科会の持ち時間はそれぞれ90分程度しかないので,事例報告・進行状況報告と質疑が中心であり,総会の場で詳細を決めるわけではない。また,RDAのアプローチは,事例の収集,パイロットソフトウェアの開発,ダイレクトリの作成,ガイドラインの作成など,間接的なものといえそうである。

 今回,日本からの参加者は筆者も含め,過去最大の16名に及んだ。科学技術振興機構(JST)の恒松直幸氏が日本からの参加者としては初めて基調講演を行ったほか,NDLの科学技術情報整備審議会の専門委員でもある情報通信研究機構(NICT)の村山泰啓氏が,同審議会や内閣府の「国際的動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討会」の審議状況について報告した。なお,同検討会は,3月に報告書「我が国におけるオープンサイエンス推進のあり方について~サイエンスの新たな飛躍の時代の幕開け~」を提出した。この報告書では,研究データのオープン化に係る議論をRDAがリードしているとして,その動向が注目されている。また4月には,日本学術会議に「オープンサイエンスの取組に関する検討委員会」が設けられた。オープンサイエンスの中核は研究データの共有である。国内においても研究データ共有をめぐる取組が始まりつつあると思われる。

 次回(第6回)のRDA総会は2015年9月23日から25日まで,フランスのパリで開催される。また,2016年春の第7回総会は日本で開催される予定である。更に関心が集まることを期待したい。

利用者サービス部科学技術・経済課・相原雅樹

Ref:
https://rd-alliance.org/plenary-meetings/rda-fifth-plenary-meeting.html
https://www.rd-alliance.org/resources.html-0
http://www8.cao.go.jp/cstp/sonota/openscience/index.html
E1566
E1531