カレントアウェアネス-E
No.189 2011.03.03
E1153
Code4Libカンファレンス2011が開催される
図書館関連のシステムに関するコミュニティ“Code4Lib”の主催するカンファレンスであるCode4Lib Conference 2011が,2011年2月7日から2月10日(現地日付)にかけて,米国インディアナ州ブルーミントン市のインディアナ大学にて行われた(E1033参照)。米国の図書館関係者を中心に,世界各地から約270名が集まり,日本からも2010年に設立されたCode4Lib Japanのメンバーをはじめ,筆者を含めて6名が参加した。
今回のカンファレンスはプレカンファレンス10件,基調講演,発表24件,ライトニングトーク32件で構成された。プレカンファレンスでは,オープンソースの検索エンジンとして広く利用されている“Solr”の新機能の説明や,機関リポジトリソフトウェアの構築の実習が行われた。シラキュース大学情報研究所のヒルマン(Diane Hillmann)氏による基調講演では,セマンティックウェブやRDA(Resource Description and Access)に代表される新しいメタデータ環境の概況が紹介され,図書館員にはそれらの変化に応じた新しいデータ流通モデルを作り出す課題があると述べられた。
発表では,デジタル化された資料の真贋性に関するメタデータ管理ツール,多種多様な資料フォーマットを扱うための機関リポジトリソフトウェア,XMLを容易に扱うためのライブラリ(プログラミングにおいてよく使用される部品をまとめたもの)など,特に電子資料の扱いに関する発表が多くなされていた。セッションの合間に設けられたライトニングトークでは,林賢紀氏(農林水産研究情報総合センター)と小野永貴氏(筑波大学,株式会社しずくラボ),ならびに筆者が,各自の行っている図書館関係のプロジェクトや取り組みを紹介した。
単に高度な情報技術を紹介するのではなく,新しい利用者サービスの提供や日常業務の改善,そして問題解決のためにはどのように情報技術を活用し,どのようなプログラムが必要かを考えて作り出すという,図書館関係者の創意工夫の姿勢を強く感じたカンファレンスであった。
なお,基調講演と各発表,ライトニングトークの内容はビデオに録画され,インターネット上で公開されている。
筆者のCode4Lib Conference 2011への参加にあたっては,Code4Lib Japanからの渡航助成を頂いた。また,2011年3月5日から7日にかけて,東京にてCode4Lib 2011参加報告会&Camp(Code4Lib Japan主催)が行われるので,ふるって参加されたい。
(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科・田辺浩介)
Ref:
http://code4lib.org/conference/2011/
http://www.code4lib.jp/
http://code4lib.org/conference/2011/lightning
http://code4lib.org/conference/2011/schedule
http://www.code4lib.jp/2011/01/360/
E1033