カレントアウェアネス・ポータルは、図書館界、図書館情報学に関する最新の情報をお知らせする、国立国会図書館のサイトです。

E1033 - 図書館システム開発コミュニティ“Code4Lib”国際会議<報告>

カレントアウェアネス-E

No.168 2010.03.24

 

 E1033

図書館システム開発コミュニティ“Code4Lib”国際会議<報告>

 

 2010年2月21日から2月25日まで,米国ノースカロライナ州アッシュビルにおいて,図書館システムの開発コミュニティである“Code4Lib”の国際会議「Code4Lib 2010」が開催された。日本からは,筆者と国立教育政策研究所の江草由佳氏の2名が参加した。

 Code4Libは,オープンソースソフトウェア文化のもとでソフトウェア開発やシステム管理に携わる者を中心としたコミュニティで,いわゆるギーク(geek)と呼ばれるソフトウェア開発者から,一般の図書館員やシステム管理者までを対象としている。

 会議は3日間で,基調講演発表が2件,口頭発表が21件,5分間のショートプレゼンテーションであるライトニングトークが35件,また,小グループに分かれてのユーザグループミーティングとなるブレイクアウトセッションも2回あった。

 基調講演は,Microsoft Researchのライフログプロジェクトの研究者マーシャル(Cathy Marshall)氏と,オープンソースソフトウェアのアーカイブサイトの運営を行うiBiblioの創設者ジョーンズ(Paul Jones)氏がつとめた。一般発表セッションでは,クラウド技術を応用したデータ処理や,アジャイル開発手法・開発環境の適用,オープンソース図書館業務システムへのデータ移行処理,オープンソースツールを使用した仮想書架ツールの構築,図書館OPACシステムのモバイル環境適応とその開発環境,といった内容の報告があった。

 会議参加者は約250名と盛況だったが,初参加者が半数近くにのぼり,米国内でも注目を集めるコミュニティ会議となっている様子を実感するとともに,図書館員と開発者とが分け隔てなく対等に議論している姿が印象に残った。参加者のほぼ全員が会議中にもPCを立ち上げ,TwitterやIRC(チャットシステム)といったコミュニケーションツールで発表内容やイベントについて議論を取り交していたのも印象的であった。ライトニングトークも,会議サイトのウィキページに,発表希望者がタイトルと名前を書き込むことにより申し込むことができ,先着順で発表機会が与えられる形式であった。折角の機会であったため,筆者もその場で申し込み,会議チュートリアルを受けて即興で開発したツール「ふわっとWorldCat関連検索」を紹介するライトニングトークを行った。

 筆者らは,発表内容および会議参加の模様の一部を,Twitterを用いて日本語で実況したほか,帰国後の3月20日には国立教育政策研究所においてCode4Lib 2010報告会を開催した。報告会には30名の参加があり,会議報告にとどまらず,図書館の検索や予約利用のためのウェブサービスやモバイル用アプリの紹介などの飛び入り発表もあり,盛況であった。

 最後に,日本国内の状況を見ると,オープンソースの図書館システムを目指すNext-Lプロジェクト(CA1629参照)が立ち上がり,大学図書館を中心に機関リポジトリ活動の中でオープンソースソフトウェアの実運用例が増えている。Code4Libのような図書館におけるシステム開発者・担当者をコミュニティとして結び付けていく活動は,今後国内でも必要とされていくのではないか。

(物質・材料研究機構・高久雅生)

Ref:
http://code4lib.org/conference/2010/
http://fuwat.to/worldcat
http://togetter.com/li/7472
http://kaede.nier.go.jp/wiki/?code4lib2010
http://www.next-l.jp
CA1629