カレントアウェアネス-E
No.183 2010.11.18
E1116
世界視聴覚遺産の日,各国でイベントが開催される
毎年10月27日はユネスコの定める「世界視聴覚遺産の日」(World Day for Audiovisual Heritage)である。世界視聴覚遺産の日は,視聴覚資料の 重要性を多くの人に知ってもらうことを目的に,2005年に策定された。ユネスコのウェブサイトによると,映画,ラジオやテレビ番組等の視聴覚資料は,20世紀および21世紀の歴史を伝える貴重な一次資料であり,これらの亡失を防ぐために,デジタルへの媒体変換を行うには,10年から15年の時間しかないと考えられているとのことである。この日には世界各国でイベントが催されており,今回で4回目となる2010年は「今,あなたの視聴覚遺産を守り味わおう」(Save and Savour your Audiovisual Heritage – Now!)をテーマに開催された。以下では,「2010年世界視聴覚遺産の日」の特設サイトに掲載されているものの中から,各国で行われたいくつかのイベントを紹介する。
フランスのパリにあるユネスコの本部では,ユネスコが保存している1,500本の映画フィルムと7,500本以上の未編集映画フィルムの中から,「女性を称える」(Celebrating Women)を共通テーマとして選ばれた7本のショートフィルムの上映会が行われた。上映された映画は,“The Wives of Nendi”(1949年), “Lydia: Another Point of View”(1975年),“Miriam Makeba Sings”(1978年)等であった。
英国BBCのBBC Archiveは,世界視聴覚遺産の日に合わせて,「アーカイブの先人達のコレクション」(Archive Pioneers Collection)を公開した。これは,1930~40年代にBBCで音声記録のアーカイブを始めた先人達が,どうやって,また,なぜ記録を収集し,選別し,そして保存したのかに関する記録を集めたウェブサイトである。
南アフリカの放送局SABCのメディアライブラリーとテレビニュースアーカイブは,南アフリカの伝統音楽と文化に関する視聴覚資料の展示を行った。1976年の蜂起に関する当時の映像資料が公開されたり,南アフリカの著名な音楽家マバソ(Lemmy“Special”Mabaso)氏の演奏も行われたりした。
そして日本では,映画保存協会が,世界視聴覚遺産の日の前日に,「地域で残そう映像史料」と題した座談会形式のイベントを行った。イベントは,映像史料の保存の実務担当者を囲んで,草の根で映像資料をアーカイブすることの意義,そしてコミュニティ主体の映画保存活動の目指すべき方向性を探ることをテーマに開催された。
「2010年世界視聴覚遺産の日」の特設ウェブサイトでは,上記の他にも,スペインやスロベニア,ラオス,ベトナム等世界各地で開催された多くのイベント情報を見ることができる。
Ref:
http://www.pia.gov.ph/wdavh2010/
http://portal.unesco.org/ci/en/ev.php-URL_ID=25563&URL_DO=DO_TOPIC&URL_SECTION=201.html
http://www.bbc.co.uk/archive/archive_pioneers/
http://www.rbf.sabc.co.za/
http://www.filmpres.org/archives/739
http://www.momat.go.jp/FC/UNESCO/index.html