E060 – 著名科学誌が生物テロ防止のために「危険な論文」を自主規制

カレントアウェアネス-E

No.11 2003.03.19

 

 E060

著名科学誌が生物テロ防止のために「危険な論文」を自主規制

 

 2月15日,米国で科学雑誌の編集者と科学者が共同発表し,生物テロに悪用される可能性が高い情報を含んだ「危険な論文」に関しては,学術上の利益よりも国家の安全を優先させ,論文の書き直しや雑誌への非掲載などの対応を取るという方針を公表した。この方針には,Natureなど世界的に著名な雑誌20誌以上が署名をしており,署名者には米国図書館協会(ALA)知的自由部長であるクラグ(Judith Krug)氏も含まれている。

 同方針に対しては,現在の国際状況下で生物テロによる被害を防止するためには必要だと評価する声がある一方で,「危険な論文」の定義が明確でなく,研究発表の自由が失われ学術活動の衰退につながりかねないなどの懸念が表明されている。

Ref:
http://www.aaas.org/news/releases/2003/0216bio.shtml
http://libraryjournal.reviewsnews.com/index.asp?layout=article&articleid=CA280557