英国著作権局、将来の著作権の方向性に関する意見募集を開始

英国著作権局(UKIPO)が2008年12月、将来の著作権の方向性に関して論点を整理し、公の意見を募集するペーパー“© The future: Keeping ahead of the game”を刊行しました。このペーパーでは、21世紀にふさわしい著作権アジェンダを開発するべく、2006年のガワーズ・レビュー(Gowers Review)のほか、欧州委員会(EC)や世界知的所有権機関(WIPO)の勧告なども踏まえ、現在の著作権システムの課題を、(1) 著作者への経済的報酬と作品の保護、(2) ライセンシング、クリアリング、例外規定などシステムの複雑さの是非(要否)、(3) 投資と創造のインセンティブ、(4) 真正性の(第三者)認証、の4点で簡潔に整理しています。

Intellectual Property Office – © The future: Keeping ahead of the game
http://www.ipo.gov.uk/pro-types/pro-copy/c-policy/c-policy-consultation.htm

なおこれに対して、英国図書館(BL)のブリンドリー(Lynne Brindley)館長は、意見募集という取り組み自体の意義は評価しながらも、著作権に関する議論がティーンエイジャー、音楽業界、消費者産業に偏っている、と批判し、教育や知識経済に対する甚大な重要性を考慮に入れる必要があること、エビデンスに基づいて議論すること、さらにレビューされるべき課題があること(著作権法の例外、著作権を上書きする形でなされる契約、フォーマット変換、デジタル技術による保護の基準、Orphan Worksなど)を提起しています。

UKIPO ‘Copyright the Future’ launch – response from Dame Lynne Brindley, CEO The British Library
http://www.bl.uk/news/2008/pressrelease20081218.html

参考:
E582 – 権利者と利用者のバランスをどう取るか?:知的財産権に関するレビュー(英国)
http://current.ndl.go.jp/e582
英国の文書館・図書館著作権同盟、実演家と実演記録の権利保護期間の延長に反対を表明
http://current.ndl.go.jp/node/8599