英国のインターネット監視団体IWFが2008年12月9日、児童虐待に当たる可能性がある画像が掲載されているWikipedia内の記事への英国内からのアクセスを禁止した件について、「今回の禁止措置がもたらした影響と、当該の画像(商品)が広く出回っていることを鑑みて、アクセス禁止対象から外す」と発表しました。禁止措置を行った(とされる)12月6日から3日後のことです。
これは、
・Wikipediaの当該記事へのアクセスを禁止するために、英国内のプロバイダーがプロキシサーバを経由してWikipediaにアクセスさせるようにしたため、個々人のIPアドレスを認識して編集可能としているWikipedia側の規制(プロキシ経由のアクセスの場合はIPアドレスが皆同じとなってしまうことから、不正な編集が行われることを懸念してそのようなアクセスの場合は一律、編集不可能とする規制)に引っかかり、英国からWikipediaのすべての記事が編集できなくなってしまった。ちなみに、Wikipedia英語版の25%が、英国内からの編集であった。
・またこの規制により、Wikipediaへのアクセスも遅くなってしまった。
・当該の画像はWikipediaでも長く公開されており、他のウェブサイト等でも入手可能であったことから、禁止措置により注目を集めて瞬く間に多くのブログ等で公開されてしまい、人々に見られないようにした措置がかえって人々に見られる結果を生み出す事態となってしまった。
ということを考慮したもので、IWFは「完全に逆効果でした」と反省の弁を述べています。
Wikipedia側はこの解除を歓迎しながら、IWF側が十分な説明不足のまま禁止措置を行ったことを批判しています。
IWF statement regarding Wikipedia webpage
http://www.iwf.org.uk/media/news.251.htm
Press releases/Censorship resolution of WP in the UK Dec 2008 – Wikimedia Foundation
http://wikimediafoundation.org/wiki/Press_releases/Censorship_resolution_of_WP_in_the_UK_Dec_2008
IWF backs down on Wikipedia censorship – Information World Review
http://www.iwr.co.uk/information-world-review/news/2232313/iwf-backs-wikipedia-censorship
参考:
英国のインターネット上の違法情報監視団体IWF、Wikipediaの特定記事への英国内からのアクセスを遮断
http://current.ndl.go.jp/node/9684