英国図書館(BL)は、オンラインで公開されている研究成果の知的財産権に対し、研究者たちがどのような意識を持っているのかを調査し、その結果をこのほど公開しました。複製や剽窃が容易となったデジタル時代が到来し、著作権のバランスが崩れてきており、現状把握が必要であるという問題意識が調査の動機です。主な結果には以下のようなものがあります。
・93%の回答者が、デジタル形式の成果にも紙媒体と同様に知的財産権が存すると考えている。
・87%の回答者が、非営利の調査、私的な研究、レビューなどを行う際には、権利所有者の許諾を得ることなく、知的財産権が保護されている業績を複製して利用できるなど、公正な使用(fair dealing)という例外を認めるべきだと考えている。
・68%の回答者が、紙媒体とデジタルフォーマットにそれぞれ異なる公正使用のための法律を設けることに反対している。
BLは今回の結果を、現在著作権の例外規定について協議している英国知的財産局(UK Intellectual Property Office)に報告する予定だということです。
“Digital is not different” say 93% of UK researchers(BLのプレスリリース)
http://www.bl.uk/news/2008/pressrelease20080408.html
参考:
E582(No.97)権利者と利用者のバランスをどう取るか?:知的財産権に関するレビュー(英国)
http://current.ndl.go.jp/e582
日本の研究者の特許、研究成果へのアクセスに対する意識
http://current.ndl.go.jp/node/5894
文化庁、英仏独米の著作権関連制度および運用状況に関する調査研究成果を公表
http://current.ndl.go.jp/node/5436