図書館の「専門性の解体」の危機に対しCILIPが取る4つのアドヴォカシー

英国でも、地方政府の財政難のため、図書館の閉鎖、サービスの縮小、スタッフの削減、地元コミュニティへの委託などを提案されている公共図書館があります。このような、公共図書館の「専門性の解体(de-professionalisation)」に対し、図書館情報専門家協会(CILIP)がどのようなアドヴォカシーを取るのかを会長が説明した記事が、同協会の機関誌“Update”に掲載されています。

同協会は、このような危機に対し、「専門職」という伝統的な概念の擁護・保護という視点からではなく、公共の利益の視点から行動すると宣言しています。その上で、国や地方へのアドヴォカシーのため、以下の4つのキャンペーンを張ることとした、としています。

1. 図書館パフォーマンス標準や質的向上の指標など先行して策定されているものをもとに、地方の公共図書館の専門性の基準を定義する。これに基づいた評価を説得材料とする。

2. 特に専門職の減少が統計上も顕著であることを考慮して、現在の公共図書館サービスの各々とそれに必要なスキルを組み合わせて、サービスと関連した形で図書館情報学専門職の役割を定義する。

3. CILIPに危機を訴える手紙を寄せてくる公共図書館を管轄する地方政府に対し、文書のやり取りに加え、CILIPの執行理事会のメンバーが実際に現地を訪れて、協同して事態の対処に当たりたいと要望し、また現地の実態を明らかにする。現地では政府と協議し、サービスの専門性の基準は何か、どのサービスが専門職によって担われなければならないか、代替案としてどのようなものがあるかを説明する。

4. 中央政府(文化・メディア・スポーツ大臣等)との対話を継続する。

Professionalism and the public interest – Bob McKee
http://www.cilip.org.uk/NR/exeres/865560BD-CCFC-4299-8068-D7ECA3456192