2022年10月11日付のNature社のニュースブログに、記事“Science’s no-fee public-access policy will take effect in 2023”が掲載されました。
米国科学振興協会(AAAS)が出版するScience誌の系列5誌に掲載された論文に関して、掲載直後に著者が費用を払うことなく各自が選択するリポジトリで「ほぼ最終版」(almost-final version)の原稿を掲載することが認められることに関するもので、この方針は2023年から実施される予定とあります。
記事は、今回のScience誌の方針は、同じくハイ・インパクトジャーナル(high-impact journal)とされるCell誌やNature誌の出版社が採用している、論文の最終的な出版版をオープンアクセスにするために、ほとんどの著者に論文処理費用(APC)を課すのとは異なるものと述べています。
Science誌の新しい方針については、同誌の9月9日付の論説で言及されていたとあります。また、その検討は、米連邦政府が資金提供した研究へのアクセスに関する米国政府の大きな方針転換の直後に行われたことなど、同誌の方針の転換の経緯についても述べられており、各方面の専門家の見解も紹介されています。
Science’s no-fee public-access policy will take effect in 2023(Nature, 2022/10/11)
https://www.nature.com/articles/d41586-022-03128-2
関連:
Parikh, Sudip; Malcom, Shirley M. ;Moran, Bill. Public access is not equal access. Science. 2022, Vol 377, Issue 6613, p. 1361.
https://www.science.org/doi/10.1126/science.ade8028
Lerdau, MANUEL. The challenge of open access incentives. Science. 2022, Vol 378, Issue 6617, p. 256.
https://www.science.org/doi/10.1126/science.ade7288
参考:
米国大統領府科学技術政策局(OSTP)、連邦政府から助成を受けた研究の成果の即時公開を求める政策指針を発表
Posted 2022年8月29日
https://current.ndl.go.jp/node/46729
米国大統領府科学技術政策局(OSTP)、連邦政府からの助成を受けた研究ためのデータリポジトリに関するガイドを公開
Posted 2022年5月31日
https://current.ndl.go.jp/node/46225
米国科学振興協会(AAAS)、Science誌及びその姉妹誌においてcOAlition Sの研究助成成果に当たる受理済論文にCC BYまたはCC BY-NDライセンスの付与を容認
Posted 2021年1月18日
https://current.ndl.go.jp/node/43008
米・トランプ政権は「購読料の壁」を突き崩すか?:米国大統領府科学技術政策局(OSTP)による政府助成研究成果物のパブリックアクセス方針の検討を巡る議論(記事紹介)
Posted 2020年5月28日
https://current.ndl.go.jp/node/41061
米国政府が政府助成研究の即時オープンアクセス(OA)義務化を検討?:出版関係者等に様々な反応(記事紹介)
Posted 2019年12月26日
https://current.ndl.go.jp/node/39850
米国政府の政府助成研究の即時オープンアクセス(OA)義務化方針案を支持する利害関係者団体・反対表明を撤回した利害関係者団体の一覧(記事紹介)
Posted 2020年1月31日
https://current.ndl.go.jp/node/40125
米国で新たなパブリックアクセス方針成立 研究に費やされる税金のうち半額以上分がパブリックアクセスの対象に
Posted 2014年1月21日
https://current.ndl.go.jp/node/25291
米OSTP、OA指令の対象となる22の連邦機関すべてがパブリックアクセス方針を策定・公開したことを報告
Posted 2017年1月17日
https://current.ndl.go.jp/node/33271
※本文を修正しました。(2022/12/19)