2022年7月13日付で、ユネスコが、ソーシャルメディアプラットフォームにおけるホロコーストの歪曲と否定に関する初めての報告書の公開に関するプレスリリースを掲載しました。世界ユダヤ人会議(WJC)の協力によりユネスコと国際連合(UN)が公開したものです。
ホロコーストの否定と歪曲に対抗するため、英国のオックスフォード大学のインターネット研究所(Oxford Internet Institute)に、Facebook、Instagram、Telegram、TikTok、Twitterの5つの主要なオンラインプラットフォーム上のホロコーストに関連する4,000件の投稿を特定して分析するよう依頼したとあります。
報告書では、ホロコーストの否定と歪曲が、モデレーションと明確なユーザーガイドラインが欠如しているとされるTelegram上において特に顕著であるとしています。Telegram上のホロコースト関連の公開コンテンツのほぼ半分(49%)が事実を否定または歪曲しており、ドイツ語のメッセージでは80%以上、英語とフランス語では約50%になるとあります。モデレートされたプラットフォームではその割合は低くなり、Twitter上のホロコースト関連コンテンツの19%、TikTokの17%、Facebookの8%、Instagramの3%が該当していたとあります。
こうした調査結果を踏まえて、報告書では以下を含む勧告を行っています。
1. 専門家、国際機関等が協力して、必要に応じてホロコーストを否定または歪曲するオンラインプラットフォームのコンテンツを監視し、行動を起こす必要がある。
2. プラットフォームは、FacebookとTikTokがユネスコとWJCとのパートナーシップによりウェブサイトaboutholocaust.orgで行っているように、ホロコーストの歴史に関する検証済みの情報をリダイレクトして可視化する必要がある。
3. プラットフォームは、教師や教育システムと連携して、教育および学習リソースを開発し、学校等の教育におけるデジタル市民教育をサポートする必要がある。
4. 政府は、学習者が誤情報を含む情報を解釈および評価できるようにするために、メディア・情報リテラシーおよび批判的思考の向上に取り組むべきである。
5. オンライン上のホロコーストの歪曲と否定との戦いは、反ユダヤ主義とヘイトスピーチに対する国家の行動計画に体系的かつ包括的に統合されるべきである。
UNESCO: Half of Holocaust-related content on Telegram denies or distorts the facts(UNESCO, 2022/7/13)
https://www.unesco.org/en/articles/unesco-half-holocaust-related-content-telegram-denies-or-distorts-facts?hub=343
History under attack: Holocaust denial and distortion on social media[PDF:68ページ]
https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000382159