ネイティブ・アメリカンの学生の学術図書館利用経験(文献紹介)

米国の大学・研究図書館協会(ACRL)刊行のオープンアクセスの査読誌“College & Research Libraries” (C&RL)の第83巻第3号(2022年)に、“Native American Student Experiences of the Academic Library”が掲載されています。著者は米・ネバダ大学リノ図書館の司書Rosalind Bucy氏です。

ネイティブ・アメリカンの学生に対する学術図書館の役割についてはほとんど注目されてこなかったとし、ネイティブ・アメリカンの学部生の図書館における経験、ニーズ、そして認識について調査することを目的としているとあります。そして、質的インタビューにより、図書館サービス、空間、文化に関するネイティブ・アメリカンの学生の視点を明らかにしています。

調査の結果、ネイティブ・アメリカンの学生にとって、パソコン、データベース、プリンターなどへのアクセスや学習スペースの提供といった図書館のコアサービスは重要であること、ネイティブ・アメリカンの文化に関する展示やコレクションなど目に見える形で配慮することが図書館やキャンパスへの彼らの帰属意識に寄与すること、彼らのアイデンティティは図書館利用において様々な意味を持つこと等が明らかになったと述べられています。多くのネイティブの学生にとっての非伝統的な経験を認識することにより、図書館は彼らへのアウトリーチに焦点を当てることができるとしています。

Bucy, Rosalind. Native American Student Experiences of the Academic Library. College & Research Libraries, 2022, 83(3), p. 416-433.
https://doi.org/10.5860/crl.83.3.416

参考:
米国博物館・図書館サービス機構(IMLS)、ネイティブ・アメリカンとネイティブ・ハワイアンのための図書館サービス支援プログラムに400万ドルを助成
Posted 2017年8月29日
https://current.ndl.go.jp/node/34581

College & Research Libraries誌が創刊号から全てオンラインで無料利用可能に
Posted 2013年4月15日
https://current.ndl.go.jp/node/23334

※本文とタイトルの一部を修正しました。(2023/8/29)