人文科学、芸術、社会科学におけるオープンアクセスに対する研究者の認識・経験調査(文献紹介)

2021年12月17日付で、欧州研究図書館協会(LIBER)のオープンアクセス(OA)の査読誌“LIBER QUARTERLY”の第31巻第1号(2021)掲載の論文“Open access in the humanities, arts and social sciences: Complex perceptions of researchers and implications for research support”が公開されています。

同論文の著者は、オーストラリア・カーティン大学のNiamh Quigley氏です。同大学の人文科学、芸術、社会科学(HASS)の研究者のうち6人に対してOAについての認識や経験をインタビューし、その結果を分析しています。

調査結果として、HASS研究者の間でもOAに関する経験・慣行に大きな違いがあることや、一部の研究者はOAで論文を公開することに対して複数の障壁に直面していること、OAについての認識に混乱があること、等が述べられています。結論部では研究結果をもとにした研究機関向けの推奨事項として以下が挙げられています。

・様々な研究者コミュニティと話し合いを行い、機関内でのOAへの障壁を特定する
・どのような場合に研究資金がOA出版費用として認められるかについて、研究資金申請者および評価者に明示する
・研究者のOAに対する認識は、学生指導者、学術誌の編集者、研究資金申請の評価者といったその人の立場によって複雑であり得ることを認識する

Quigley, N. Open access in the humanities, arts and social sciences: Complex perceptions of researchers and implications for research support. LIBER Quarterly. 2021, 31(1), p. 1–27.
https://doi.org/10.53377/lq.10937