書籍のオープンアクセス出版発展のための基盤構築に取り組むプロジェクトCOPIM、大手商業出版社によるオープンアクセス基盤買収を懸念する声明を公表

2021年12月15日、書籍のオープンアクセス出版発展のための基盤構築に取り組むプロジェクトCOPIMは、大手商業出版社によるオープンアクセス(OA)基盤買収を懸念する声明を公表しました。

最初に、2017年のElsevier社によるbepress社の買収、2020年のTaylor & Francis社によるF1000 Researchの買収、そして2021年のWiley社によるKnowledge Unlatchedの買収といった近年の動向に触れ、これらは大手出版企業による研究インフラの統合の動きを反映するもので、知識普及のためのオープン基盤を収益化し、潜在的には独占しようとする試みであると見なしています。

COPIMは、OA書籍の出版・普及のためのインフラはそれ自体がオープンであるべきで、かつそのインフラを使用する研究コミュニティによって所有・管理されるべきである、という考えに立脚しており、その観点から、大手商業出版社による買収の動きは脅威をもたらすものであると述べています。

その上で、小規模で多様な出版社や出版プロジェクトが、学術コミュニケーションにおける他のステークホルダーと協働するエコシステムを望ましいあり方として提唱し、その実現のためにCOPIMが取り組んでいる事業を紹介しています。

COPIM statement on the corporate acquisition of OA infrastructure(COPIM, 2021/12/15)
https://copim.pubpub.org/pub/copim-statement-corporate-acquisition-oa-infra/release/1

参考:
Elsevier社、機関リポジトリソフトウェアを提供するbepress社を買収
Posted 2017年8月16日
https://current.ndl.go.jp/node/34514

Taylor & Francisグループ、F1000 Researchを買収
Posted 2020年1月15日
https://current.ndl.go.jp/node/39964

Wiley社、Knowledge Unlatched(KU)の買収を発表
Posted 2021年12月3日
https://current.ndl.go.jp/node/45275