韓国国立中央図書館(NLK)、コロナ禍によって加速化した知識情報のデジタルへの大転換に積極的に対応するため「デジタルサービス3か年計画(2021-2023)」を推進すると発表

2021年9月28日、韓国国立中央図書館(NLK)が、コロナ禍によって加速化した知識情報のデジタルへの大転換に積極的に対応するため「デジタルサービス3か年計画(2021-2023)」を推進すると発表しました。

同計画は以下のような5つの重点課題と15の詳細な推進課題で構成されています。

1.コリアンメモリーサービスの拡大
①コリアンメモリーの構築(2023年までに213万冊をデジタル化)
②ウェブアーカイブOASISの構築拡大
③共有知識情報資源のアーカイブを構築

2.非対面サービスの拡充
④図書館の電子書籍サービスプラットフォーム(納本された電子書籍を自宅で利用できるプラットフォーム)の構築・運営
⑤国立中央図書館On나루(仮称)の構築・運営
⑥デジタルリテラシーサービス強化

3.データキュレーションサービスの開発
⑦データの資源化と活用性の強化
⑧データサービスの開発
⑨国の文献データの保存センターの構築

4.デジタルサービス共有プラットフォームの活性化
⑩国家知識情報資源共有プラットフォームサービスの強化(「デジタル集賢殿事業」と連携しての国家電子図書館サービスの強化等)
⑪政策情報協力ネットワークの構築とサービスの拡大
⑫「東アジアデジタル図書館」の構築・拡大

5.未来の図書館サービスへのリーダーシップの実践
⑬新しい技術を基盤とするデジタルサービスの研究・開発(人工知能による書誌データ作成や対話型サービスシステム等)
⑭次世代図書館システムの構築・運営
⑮デジタルサービスの専門性とリーダーシップの開発

また、デジタル環境に効率的に対応し、あたらな機能と役割を確立することを目的に、9月24日付で組織改革が行われ、複数の部門に分散されたオンライン資料業務を一元化してのオンライン資料課の新設、オンライン・オフラインに分かれていた利用サービス業務の知識情報サービス課への統廃合が行われました。あわせて、新しい技術をもとにした図書館データ活用サービスの企画・研究、図書館データの発掘と新しい技術の融合サービスの推進戦略策定、次世代のデジタル図書館サービス開発といった業務も新設されています。

さらに、現在建設中の「国家文献保存館」への次世代デジタルデータセンターとしての機能の整備、拡張現実(AR)・人工知能(AI)を用いて構築した「実感書斎」を新しい実感型コンテンツとして拡充することでのデジタルリテラシー教育のより一層の拡大、国家文献情報流通システムの構築、孤児著作物調査システムの開発、オープンアクセスの推進等も挙げられています。

디지털 대전환을 선도하는 국가대표도서관(デジタル大転換を先導する国家代表図書館)(NLK,2021/9/28)
https://www.nl.go.kr/NL/contents/N50603000000.do?schM=view&id=40107&schBcid=normal0302

関連:
未来の図書館 国立中央図書館の「実感書斎」(KOREA.net,2021/6/9)
https://japanese.korea.net/NewsFocus/Sci-Tech/view?articleId=198847

参考:
韓国国立中央図書館(NLK)、公共図書館所蔵の貴重書デジタル化支援事業の募集開始:「コリアンメモリー 地域文化遺産デジタルアーカイブ」の構築が目的
Posted 2018年6月27日
https://current.ndl.go.jp/node/36231

韓国において国家知識情報の連係および活用の促進に関する法律(デジタル集賢殿法)が成立:国家の知識情報を1か所で検索・アクセス・活用できるプラットフォームの構築
Posted 2021年5月27日
https://current.ndl.go.jp/node/44081

韓国国立中央図書館(NLK)、平昌オリンピック・パラリンリック競技大会の国際放送センターを改修して建設する「国家文献保存館」の国際建築設計競技の結果を発表
Posted 2021年8月10日
https://current.ndl.go.jp/node/44565

E457 – 韓国国立中央図書館,ウェブアーカイブプロジェクト”OASIS”を公開
カレントアウェアネス-E No.78 2006.03.08
https://current.ndl.go.jp/e457

E1595 – 国立世宗図書館開館と韓国の政策情報サービス
カレントアウェアネス-E No.264 2014.08.07
https://current.ndl.go.jp/e1595

E1836 – オンライン資料の納本制度の現在(4)韓国
カレントアウェアネス-E No.310 2016.09.01
https://current.ndl.go.jp/e1836

E2360 – East Asia Digital Library(EADL)β版公開と今後の展望
カレントアウェアネス-E No.409 2021.03.04
https://current.ndl.go.jp/e2360