2021年7月7日、英・Jiscは、米国科学アカデミー(NAS)と“Publish and Read”契約を締結したことを発表しました。契約期間は2021年7月から2023年6月までの2年間となっており、NASにとって国レベルのコンソーシアムとの転換契約締結は初めてとなります。
参加機関に所属する英国の責任著者(corresponding authors)は、出版費用を負担することなく、『米国科学アカデミー紀要』(PNAS)にオープンアクセス(OA)論文を掲載することができます。また、参加機関の研究者は、1915年までさかのぼるPNASの全コンテンツに無料でアクセスできるようになります。
発表には、PNASの発行人でありNASのexecutive directorでもあるKen Fulton氏のコメントも掲載されています。同氏は、この契約を通じ、英国の大学に属する研究者はPlan Sに準拠した方法によりPNASでOA出版を行うことが可能になったとしています。さらに、この契約でのデータを分析してOAのビジネスモデル検討を進めること、フルOA誌の“PNAS Nexus”を2022年に立ち上げる予定であることにも言及しています。
Jisc negotiates transformative agreement with the National Academy of Sciences(Jisc, 2021/7/7)
https://www.jisc.ac.uk/news/jisc-negotiates-transformative-agreement-with-the-national-academy-of-sciences-07-jul-2021
PNAS announces “Publish-and-Read” agreement with Jisc(NAS, 2021/7/7)
http://www.nasonline.org/news-and-multimedia/news/pnas-jisc.html
参考:
英・JiscとTaylor & Francisグループ、3年間の転換契約を締結
Posted 2021年4月15日
https://current.ndl.go.jp/node/43817
米国科学アカデミー(NAS)、2021年にPNAS誌コンテンツの公開プラットフォームをWiley社傘下Atyponの“Literatum”へ移行
Posted 2021年1月13日
https://current.ndl.go.jp/node/42972
CA1990 – 動向レビュー:プランS改訂版発表後の展開―転換契約等と出版社との契約への影響 / 船守美穂
カレントアウェアネス No.346 2020年12月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1990
CA1977 – 動向レビュー:学術雑誌の転換契約をめぐる動向 / 尾城孝一
カレントアウェアネス No.344 2020年6月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1977