英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)、一定の売上を達成した学術単行書をオープンアクセス化するパイロットプロジェクト“Flip it Open”を開始

2021年6月30日、英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)は、古典・政治・歴史分野等の学術単行書25タイトル以上を対象とした新たなパイロットプロジェクト“Flip it Open”の開始を発表しました。最初のタイトルは2021年7月中に出版される予定です。

同プロジェクトの対象書籍が一定の販売売上を達成した場合、CUPは当該書籍をオープンアクセス(OA)化し、CUPの学術プラットフォームCambridge Core上で提供します。また、OA化と同時に、印刷版を必要とする読者向けに手頃な価格のペーパーバック版も刊行すると述べています。

“Flip it Open”モデルでは、著者や助成機関でOA出版費用を負担する必要はありません。そのため、OA出版のための助成を得られない著者も含めた全ての著者に対し、OA化へのルートを提供するものとなります。一方、購入者側(主に大学図書館)では、OA化される可能性のある書籍を購入していると事前に知ることができます。このことから、学術コミュニティに利益をもたらすOA化のための資金調達に、大学図書館らの積極的な参加を呼び掛ける方法でもあるとしています。

Introducing a new OA pilot: Flip it Open(CUP, 2021/6/30)
https://www.cambridge.org/us/about-us/news/introducing-new-oa-pilot-flip-it-open/

参考:
E2166 – 図書館の共同出資による特別コレクションのOA化事業(米国)
カレントアウェアネス-E No.374 2019.08.08
https://current.ndl.go.jp/e2166