標準的な出版モデルと比較したRegistered Reportの研究の質(文献紹介)

2021年6月24日付で、Springer Nature社が刊行するオンラインジャーナル“Nature Human Behaviour”に、Center for Open Science(COS)のCourtney K. Soderberg氏らによる共著論文“Initial evidence of research quality of registered reports compared with the standard publishing model”が掲載されています。本文は有料ですが、要旨(Abstract)は公開されています。

Registered Report(RR)では、研究結果が判明する前に、最初の査読と原則的な採択が行われます。これにより、出版バイアスの回避と、計画された研究と計画されていない研究の区別がなされます。

この論文では、353人の研究者が、心理学、神経科学のRRとそれに対応するRRでない論文のペアをそれぞれ査読しました。RRは19の観点において、比較対象となった論文の数値を全て上回りました。新規性や創造性(creativity)については統計的有意な差がありませんでしたが、方法論の厳密さ(rigour of methodology)、分析(analysis)、論文の全体的な質については大幅な改善が見られました。

RRは、出版バイアスを減少させつつ研究の質を向上させ、最終的には信頼性を向上させる可能性があると述べられています。

Soderberg, C. K. et al. Initial evidence of research quality of registered reports compared with the standard publishing model. Nature Human Behaviour. 2021.
https://doi.org/10.1038/s41562-021-01142-4

参考:
オープンアクセス出版社・PLOS、PLOS ONE誌で2021年から取り扱う査読論文として新たに2種類の文献種別を試験導入:研究プロトコルを査読論文として公表可能に
Posted 2020年12月18日
https://current.ndl.go.jp/node/42804

PLOS ONE、Registered Reportの受付開始を発表
Posted 2020年1月21日
https://current.ndl.go.jp/node/40015