イタリア・ボローニャ大学図書館、故ウンベルト・エーコ氏の書斎での排架通りに旧蔵書を排架するスペースを館内に設置へ:バーチャルなデジタルライブラリーも計画

2021年6月17日付けのイタリア・ボローニャ大学の機関紙(オンライン)UniboMagazineが、同大学の元教授で作家・哲学者・記号学者の故ウンベルト・エーコ氏の書斎(Library)の雰囲気を再現したスペースを同大学の図書館に設置するプロジェクトが発表されたと報じています。

同館の「20世紀翼棟(20th-century wing)」内に、張り出し通路(walkaway)で2層に分けられた白い書架を設置し、同氏のミラノの自宅の白い高書架での排架場所を参照して図書を排架するとしており、閲覧室を設け、専門職員も配置されます。加えて、情報可視化システムにより新たな分析手法の構築を促すデジタルライブラリー“ECO’S DIGITAL MODERN LIBRARY”も計画されており、物理的な構成(書架)と意味的な構成(図書の排架場所から想起される概念のネットワーク)双方で3Dビューアーのアプリを通じてアクセスできるとしており、ウンベルト・エーコの思想を物理的にもデジタル的にも探究できると説明されています。

同氏旧蔵の約4万4,000冊の図書(イタリア語に翻訳された外国の図書約3万3,000冊等。3万3,000冊のうち5,000冊には献辞があり、約2,500冊に同氏の書き込みがある)のほか、1950年代以降の同氏の書簡(300フォルダ)および自宅に散在していたメモ(100フォルダ)からなる文書アーカイブも含まれています。その他、インキュナブラ・アルド版・初版本等、中世から20世紀までの図書1,200冊からなる同氏の古書コレクションについては、ミラノ・ブライデンセ国立図書館が取得し、デジタル化されるとしています。

Umberto Eco’s library at Unibo(UniboMagazine,2021/6/17)
https://magazine.unibo.it/archivio/2021/umberto-ecos-library-at-unibo

@unibo.it(Facebook,2021/6/17)
https://www.facebook.com/unibo.it/posts/2887570698176912
※ボローニャ大学の公式アカウント。イタリア語。

@BUB.unibo(Facebook,2021/6/18)
https://www.facebook.com/BUB.unibo/posts/1034503760287890
※ボローニャ大学図書館の公式アカウント。イタリア語。

参考:
札幌大学図書館、山口昌男元学長の仕事場を再現した「ヘルメス」をオープン
Posted 2017年9月8日
https://current.ndl.go.jp/node/34644

E1872 – 筑波大学附属図書館における二宮文庫の受入れと活用の取組
カレントアウェアネス-E No.317 2016.12.22
https://current.ndl.go.jp/e1872
※歴史学者・二宮宏之氏の書斎における配置をほぼ踏襲して大塚図書館で開架。