自動論文生成ソフト“SCIgen”による論文は依然として存在する(記事紹介)

Nature誌のオンライン版に、2021年5月27日付けで記事“Hundreds of gibberish papers still lurk in the scientific literature”が掲載されています。自動論文生成ソフト“SCIgen”で作成された論文が依然として存在することを紹介し、今後論文の撤回が相次ぐ可能性に言及しています。

“SCIgen”は、ランダムなタイトル・本文・図表を持つ、意味をなさない研究論文を自動的に生成するソフトウェアです。記事によれば、3人の博士課程の学生らが、でたらめな論文を受理する学会があることを示すため2005年に作成したものです。

記事では、かつて“SCIgen”により生成された論文が複数発見され、その後撤回されるという問題が生じたことを振り返るとともに、2021年5月に発表された論文で新たに“SCIgen”による論文の検出結果が報告されたこと等を紹介しています。同論文では、“SCIgen”により全体又は一部が作成された論文が計243件特定されたと報告しています。

Hundreds of gibberish papers still lurk in the scientific literature(Nature, 2021/5/27付け、2021/5/28更新)
https://doi.org/10.1038/d41586-021-01436-7

参考:
SpringerとIEEE、機械生成されたでたらめな論文120本以上をプラットフォームから削除
Posted 2014年2月25日
https://current.ndl.go.jp/node/25553

Springer、同社の会議録に自動論文生成ソフトSCIgenで作成されたペーパーが含まれていたことについての報告書を公開
Posted 2014年8月18日
https://current.ndl.go.jp/node/26821

Springerらが自動生成論文を検出するオープンソースソフトウェアSciDetectを開発
Posted 2015年3月24日
https://current.ndl.go.jp/node/28213

「そのメーリングリストから私を外せ」と繰り返し書かれているだけの論文が受理される
Posted 2014年11月25日
https://current.ndl.go.jp/node/27497

CA1829 – 査読をめぐる新たな問題 / 佐藤 翔
カレントアウェアネス No.321 2014年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1829