国際図書館連盟(IFLA)、非印刷著作物のアクセシブルなフォーマットでの利用可能性に関する欧州連合(EU)のアンケートに回答

2021年5月6日、国際図書館連盟(IFLA)は、欧州連合(EU)が2021年2月11日から4月30日にかけて実施していた、非印刷著作物(映画、写真、音楽、コンピュータプログラム、ビデオゲーム等)のアクセシブルなフォーマットでの利用可能性に関するアンケートに回答したことを発表しました。回答内容も公開されています。

EUのアンケートは、非印刷著作物が障害者にとって利用可能かどうかの情報収集を目的として実施されました。EUでは2017年に、マラケシュ条約に対応するための規則・指令を採択しており、同指令の第9条の規定がアンケート実施の契機となっています。

同指令では、印刷物の判読に障害がある人々がアクセシブルなフォーマット(点字、大活字、対応した電子書籍等)で印刷著作物を利用することについて、著作権に対する制限を規定しています。第9条では、同指令の対象範囲に含まれない著作物の利用可能性や、同指令の対象範囲を拡大する潜在的な必要性について評価を行うよう、欧州委員会(EU)に求めています。

IFLAの発表によれば、回答に当たりIFLAの「特別なニーズのある人々への図書館サービス分科会」との協力を通じ情報収集を行いました。回答内容として、以下のような点等を紹介しています。

・アクセシブルなフォーマットで提供される作品がある一方で、欧州における国家間格差の存在により、各国における利用可能性は同等ではないこと
・非印刷著作物について、アクセシブルなフォーマットでの利用が困難であること
・COVID-19のパンデミックが障害者サービスに悪影響をもたらしていること

IFLA’s responds to the EU Consultation on the availability of works in accessible formats(IFLA, 2021/5/6)
https://www.ifla.org/node/93865
https://www.ifla.org/files/assets/clm/news/eu-consultation_-_availabilities_of_works.pdf
※二つ目のリンクがアンケートへの回答内容[PDF:25ページ]です。“Introduction”にアンケート実施の経緯が示されています。

関連:
Targeted consultation on the availability of works other than printed works in formats accessible for persons with disabilities within the internal market(EC)
https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/consultations/targeted-consultation-availability-works-other-printed-works-formats-accessible-persons
※EUによる本アンケートのウェブページです。

参考:
欧州連合、マラケシュ条約に対応するために採択された規則・指令を公布
Posted 2017年9月25日
https://current.ndl.go.jp/node/34727

CA1831 – マラケシュ条約―視覚障害者等への情報アクセスの保障に向けたWIPOの取り組み / 野村美佐子
カレントアウェアネス No.321 2014年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1831

※本文を修正しました。(2021/5/12)