2021年3月1日、オープンアクセス(OA)誌のeLifeは、著者・出版社にコンピューター上で再現可能な学術論文の出版を提供するプロジェクト“Executable Research Article”(ERA)が新しいフェーズを開始したことを発表しました。
ERAは、インタラクティブで再現性の高いドキュメント出版のためのオープンソースのツール開発を専門とするStencila社と共同して、eLifeが2017年から取り組むプロジェクトです。ERAにより出版された学術論文では、論文内のコードやプログラムの検証・修正等のため、読者がブラウザ上でこれらを直接実行することができます。論文読者が図の生成過程を把握したり、分析の範囲を任意の条件に変更することなどが可能になり、研究の透明性・再現性・インタラクティブ性の向上に寄与する取り組みとして説明しています。
アイデアの発案から実証実験を経て、eLifeは2020年8月にERAとして出版される論文の投稿受付を開始しました。今回の発表までに6本の論文がeLife上に掲載されています。ERAの新しいフェーズでは、著者と出版の間の障壁を取り除く目的で、著者がローカル環境で簡易に内容を確認するためのパッケージ開発や、オフライン環境における編集の実装等が進められます。また、発表の中では、データ駆動型研究を扱う査読誌“GigaByte”など、eLife以外の学術雑誌でもERAによる論文出版が行われていることを紹介しています。
eLife and Stencila announce roadmap for bringing reproducible publishing to more authors(eLife,2021/3/1)
https://elifesciences.org/for-the-press/2b653a68/elife-and-stencila-announce-roadmap-for-bringing-reproducible-publishing-to-more-authors
Stencila
https://stenci.la/
関連:
Welcome to a new ERA of reproducible publishing(eLife,2020/8/24)
https://elifesciences.org/labs/dc5acbde/welcome-to-a-new-era-of-reproducible-publishing
eLife launches Executable Research Articles for publishing computationally reproducible results(eLife,2020/8/24)
https://elifesciences.org/for-the-press/eb096af1/elife-launches-executable-research-articles-for-publishing-computationally-reproducible-results
参考:
Taylor & FrancisとCode Oceanが提携を発表 論文内でコードを共有・実行可能に
Posted 2018年2月7日
https://current.ndl.go.jp/node/35448
EBSCO社、オープンリサーチの成長・加速化等のため“Code Ocean”、及び“protocols.io”との提携を発表
Posted 2020年1月23日
https://current.ndl.go.jp/node/40035