2021年2月12日、フィンランド・ヘルシンキ市が、ヘルシンキ都市圏図書館(HelMet)に属する図書館のブックコートフィルムを植物由来のバイオプラスチック製に変更すると発表しました。対象となるのは、ヘルシンキ市、エスポー市、ヴァンター市、カウニアイネン市の64館です。
ブックコートは本を長持ちさせて環境への影響を軽減する一方で、環境問題につながるプラスチック製フィルムに代わる高品質な素材を求めることはこれまで困難であったところ、同国の企業が新しく開発したサトウキビ由来のバイオエタノールを原料とした素材が条件を満たすものであり、図書館関係企業で販売されるフィルムもバイオプラスチック製のものに切り替わることが紹介されています。
また、図書館においては、ブックコートをしない場合の本の耐久性に関する調査を2020年3月から行っており、コロナ禍でのロックダウンにともなう本の流通量不足により、現在も調査を継続中です。雑誌や安価なペーパーバックといったすぐに古くなる資料や、余り貸し出されない参考図書についてはブックコートをしないでも良いが、児童書や移動図書館で用いる本はブックコートが必要という図書館の考えも紹介されています。
HelMet libraries will stop coating books with plastic and move to plant-based film(City of Helsinki,2021/2/12)
https://www.hel.fi/uutiset/en/kulttuurin-ja-vapaa-ajan-toimiala/library-books-to-be-coated-with-bioplastic
参考:
フィンランドの公共図書館におけるグリーンライブラリーの示し方(記事紹介)
Posted 2012年10月4日
https://current.ndl.go.jp/node/22001
カナダ国立図書館・文書館(LAC)、同館の新しい保存センターの設計計画を発表:炭素排出量実質ゼロ
Posted 2019年6月19日
https://current.ndl.go.jp/node/38395
E2080 – 優れたグリーンライブラリーを称えるGreen Library Award
カレントアウェアネス-E No.358 2018.11.22
https://current.ndl.go.jp/e2080