2020年11月3日、韓国・文化体育観光部が、同月に図書定価制の3年ごとの定期的な見直し期限をむかえるにあたり、改正案を発表していました。
同制度では、書店等は出版社が表示した定価で図書を販売する必要がありますが、読書振興と消費者保護のため、値引きと割引き以外の経済的な特典を組み合わせて定価の15%以内の割引はできると定められています。
同部では見直しにあたり、2019年から利害関係者を中心に官民協議会を運営し、改正の方向性を議論してきており、同制度が出版業界の生態系に与えるプラスの効果を考慮し、大枠では現行通り維持するものの、出版市場の変化等を反映して細部の変更を行なうとし、定価の維持期間をこれまでの18か月から12か月に緩和すると発表しています。また、今後は出版社が市場の需要に柔軟に対処するため簡単に定価を変更できるよう出版流通統合ネットワークとも連携する計画であるとしています。さらに、定価引き下げイベントを開催し、消費者が手頃な価格で様々な書籍を購入できる機会を企画する予定としています。
また、国・地方公共団体・公共機関・公共図書館が図書を購入する際には、割引き以外の経済的な特典(物品やマイレージ)はなしで定価の10%までの割引のみ適用することで、比較的余力がなく割引以外の経済的特典を提供できない地域の書店も公共入札時に大型書店やオンライン書店と同等に競争できるようにするとしています。
さらに、定価販売違反の際は、これまで違反回数に関係なく同一の過料が課されていましたが、今後継続して違反した場合には、より高額の過料を科すことで違反の繰り返しを防ぐとしています。
電子出版物に関しては、定価の表示義務を柔軟に適用するとし、電子マネーで電子出版物を販売する場合は、作品情報欄のような消費者が探せる位置にウォン単位の価格を表示すればよいとしています。ただし、電子マネーとウォンとの交換比率を明示する必要があります。また電子出版物市場の特性を考慮した図書定価制適用案を策定するための議論を続けていく計画であるとしています。
改正案は今後の国会での議論を経て最終的に確定されます。
도서정가제, 소비자 후생 고려해 재정가 허용기준 완화(18 → 12개월)하고, 전자출판물은 지속 논의(図書定価制、消費者の厚生を考慮して図書定価の許容基準を緩和(18→12か月)し、電子出版物は議論を継続)(文化体育観光部,2020/11/3)
https://www.mcst.go.kr/kor/s_notice/press/pressView.jsp?pSeq=18423
関連:
『外国の立法』No.260-1 【韓国】図書定価制の拡大
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8702075_po_02600108.pdf?contentNo=1
参考:
韓国図書館協会(KLA)、図書定価制の改正に反対すると発表:オンラインでの署名活動に参加
Posted 2020年9月4日
https://current.ndl.go.jp/node/41922
韓国・文化体育観光部、改正図書定価制施行2年を受けての調査結果を発表
Posted 2016年12月5日
https://current.ndl.go.jp/node/33039
韓国、改正図書定価制の施行から2年(記事紹介)
Posted 2016年11月21日
https://current.ndl.go.jp/node/32960
韓国、改正図書定価制を施行
Posted 2014年11月25日
https://current.ndl.go.jp/node/27506