韓国・ソウル特別市の公共図書館職員の労働組合、遅延している「司書等の権益保護に関する条例」の制定を求める声明を発表

韓国・ソウル特別市の公共図書館職員の労働組合「ソウル市公共図書館職員の連帯準備会」が、2020年10月26日付で、「司書等の権益保護に関する条例」の制定を求める声明を発表しました。

同団体の説明によると、同市が同条例案の最終案を提出したものの制定が遅れていたことから、6月にソウル図書館長と面談し、8月・9月開催の市会の定例会での議員発議による制定を想定していると回答を得たとのことです。

しかし、8月初めに、市長の事故(死亡)による条例制定の延期に関するメールを同館から受け取ったことから、11月の市会開催を考慮し、10月に条例制定の予定を同館に尋ねたところ、同館では市会の文化観光委員会の委員長に条例案を説明したものの、今回も議員発議は難しいとの回答を受けたとしています。

そこで、同団体では、声明において、市長の不在といった事情は理解するものの、同条例は同市だけでなく多くの図書館関係者が参加したタスクフォースの活動に基づき作成された全国初の図書館権益条例であり、また、制定は、実態調査やタスクフォース活動に参加した公共図書館職員との約束であるとして、ソウル市に対して条例制定のための努力をするよう求めています。

また、同市が条例案に合わせて提出した「ソウル地域民間委託公共図書館司書等の労働条件保護ガイドライン」について、条例の制定・公布後に、ソウル図書館が現場の意見を聴取し、専門家への諮問を経て各区に提示する予定としていることから、条例制定の時期が不透明であるため、同市に対して、意見聴取や各区へ示す計画・日程を提示するよう求めています。

[입장문] 서울시 공공도서관 권익조례 제정을 촉구합니다(2020/10/26)([声明]ソウル市公共図書館権益条例の制定を求めます)(ソウル市公共図書館職員の連帯準備会,2020/10/27)
https://spsunion.campaignus.me/42/?q=YToxOntzOjEyOiJrZXl3b3JkX3R5cGUiO3M6MzoiYWxsIjt9&bmode=view&idx=5203543

参考:
韓国・ソウル特別市、司書等の権益保護・地位向上に関する条例案を立法予告:意見を募集中
Posted 2020年3月23日
https://current.ndl.go.jp/node/40558

韓国図書館協会(KLA)等10団体、ソウル特別市による司書等の権益保護・地位向上に関する条例案への声明を発表:適用範囲の拡大・同一労働同一賃金の明記等を要望
Posted 2020年4月16日
https://current.ndl.go.jp/node/40782

韓国・ソウル特別市、公共図書館の司書の労働者としての権利と処遇改善のための対策を実施すると発表:条例の制定・賃金標準案の策定・感情労働に関するガイドラインの作成等
Posted 2020年2月12日
https://current.ndl.go.jp/node/40223

韓国・ソウル特別市、「ソウル地域の公共図書館の司書等の感情労働者保護ガイドライン・マニュアル」の施行を発表
Posted 2020年8月26日
https://current.ndl.go.jp/node/41828