研究成果のオープンアクセス(OA)化を推進するラテンアメリカの国際組織LA Referencia の2020年8月27日付け記事において、2019年のラテンアメリカ地域におけるビッグディール契約の調査結果が紹介されています。
調査は2018年10月にチリのサンティアゴで開催された第2回ラテンアメリカ・カリブ海諸国コンソーシアム会議(Segunda Reunión de Consorcios de América Latina y El Caribe)に端を発するもので、学術雑誌のパッケージ契約に対する各国の支出を定量化することを目的として実施され、5つの主要出版社(American Chemical Society、Elsevier、Springer Nature、Taylor&Francis、Wiley)との契約に焦点を当てています。
調査結果のレポートはスペイン語で公開されていますが、記事ではその概要を英語で紹介しており、以下のような内容等が示されています。
・ラテンアメリカの11か国が調査に参加したこと
・調査対象国の82%が、オープンアクセス運動の重要性によりビッグディール契約の交渉及び契約プロセスに関する期待が変化したと回答していること
・11の回答者(レポートによれば各国のコンソーシアム)によれば、電子リソース(電子ジャーナル、データベース、電子書籍)への年間支出額は概算で1億278万8847米ドルに達するが、論文処理費用(APC)と大学等の機関による契約額を含んでいないため、ラテンアメリカ地域における支出を過小評価した金額であること
BigDeals survey shows that Latin America spends a little over USD $100 Million per year on information resources(La Referencia, 2020/8/27)
http://www.lareferencia.info/en/blog-masonry/news/item/275-big-deals-survey-shows-that-latin-america-spends-a-little-more-than-usd-100-million-per-year
PRIMERA ENCUESTA REGIONAL SOBRE NEGOCIACIÓN Y CONTRATACIÓN DE RECURSOS DE INFORMACIÓN 2019 [PDF:51ページ]
http://www.lareferencia.info/images/prensa/Primera_Encuesta_EUA_en_America_Latina_y_El_Caribe_2019.pdf
※調査結果のレポート(スペイン語)です。
参考:
米・Ithaka S+R、研究図書館11館とともにビッグディール契約中止による利用者や図書館への影響関係の調査プロジェクトを開始
Posted 2020年5月29日
https://current.ndl.go.jp/node/41070
SPARC、ジャーナル出版社との契約交渉の詳細を比較可能なデータベース“Big Deal Knowledge Base”を公開
Posted 2019年8月9日
https://current.ndl.go.jp/node/38775
欧州大学協会(EUA)、欧州の大学におけるビッグディール契約に関する調査報告書の第2版として“2019 Big Deals Survey Report”を公開
Posted 2019年5月17日
http://current.ndl.go.jp/node/38179
CA1910 – ラテンアメリカのオープンアクセスとLa Referencia / 水野翔彦
カレントアウェアネス No.334 2017年12月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1910
CA1586 – 動向レビュー:電子ジャーナルのビッグ・ディールが大学図書館へ及ぼす経済的影響について / 加藤信哉
カレントアウェアネス No.287 2006.03.20
http://current.ndl.go.jp/ca1586