cOAlition S、研究の慣行や学術情報流通におけるPlan Sの影響関係をモニタリングするための枠組みを公開

2020年7月10日、cOAlition Sは、研究の慣行や学術情報流通におけるPlan Sの影響関係をモニタリングするための枠組みを公開したことを発表しました。

cOAlition Sは、Plan Sの実施は研究者の出版慣行や研究活動・評価に大きな影響を与えることが予想され、Plan Sの実現にかかる手引きに対する600件以上のフィードバックでも、分野間の出版慣行の相違や出版のための費用へのアクセス等に関する不平等など、多くの監視・対処すべき課題を挙げられたことから、モニタリングのための枠組み構築を進めました。

公開された枠組みはPlan Sに署名する助成機関が、利害関係者とPlan Sの影響関係を議論するにあたって、肯定的な影響・否定的な影響の双方を追跡・監視できることを目的として構築されました。枠組みはScience Europe、UK Research and Innovation (UKRI)などのcOAlition Sを構成する助成機関や、European Council of Doctoral Candidates and Junior Researchers(Eurodoc)などのPlan Sの影響に関する懸念が特に示されたキャリア初期の研究者が構成する団体のタスクフォースによって策定されました。

公開された枠組みは、モニタリングの優先トピックとして、「研究者の採用・評価と公表する雑誌の選択」を設定し、このトピックが関わる影響関係として、研究者のキャリアアップ・研究者の地理的な移動・研究者の出版慣行・共同研究・機関における評価システムの変化・研究者の多様性の6点を挙げています。また、これに準じる重要なトピックとして、金銭的人的なコストとリソース、Plan Sの要件を満たした研究成果やリポジトリの普及状況、助成機関の状況、研究活動の動向、学術出版システムの動向の5つのトピックを設定しています。

Monitoring the effects of Plan S on Research and Scholarly Communication: an update(cOAlition S,2020/7/10)
https://www.coalition-s.org/monitoring-the-effects-of-plan-s-on-research-and-scholarly-communication-update/

参考:
cOAlition S、Plan Sの要件を満たすための手順をまとめた手引きを公表:フィードバックを募集中
Posted 2018年11月29日
https://current.ndl.go.jp/node/37124

Coalition S、Plan Sの実現にかかる手引きへのフィードバックを受けて声明を発表:フィードバックの分析結果を2019年春に公表予定
Posted 2019年2月26日
https://current.ndl.go.jp/node/37660

Coalition S、「Plan Sの実現にかかる手引き」の改訂を発表:効力発生は2021年1月1日からへ延期
Posted 2019年6月6日
https://current.ndl.go.jp/node/38293