欧州の研究者らを代表する3団体が連名でPlan Sの実現にかかる手引きに対するコメントを発表

2019年1月28日、欧州の研究者らを代表する団体である、博士課程学生及び若手研究者の欧州協会(European Council of Doctoral Candidates and Junior Researchers:Eurodoc)、マリー・キュリー同窓会(Marie Curie Alumni Association:MCAA)、欧州若手アカデミー(Young Academy of Europe:YAE)が連名でPlan Sの実現にかかる手引きに対するコメントを発表しました。

今回のコメントは、2018年9月24日に同じく3団体連名で発表されたPlan Sに対する声明 “Joint Statement on Open Access for Researchers via Plan S”をベースとしたものであり、欧州の研究者の視点から、Plan Sの実現方法をより現実的なものとすることを目的としています。

コメントでは、研究機関や助成機関に対し研究者評価システムの見直しと「研究評価に関するサンフランシスコ宣言」(DORA)の履行などを求めるとともに、cOAlition Sに対し次のような内容を促しています。

・出版物の著作権保持者について、法的に可能であれば著者とするよう推奨すること
・CC BYで公開することに対し、人文学・社会科学分野からの懸念が寄せられているため、CC-BY-ND(表示-改変禁止)ライセンスでの公開も許容すること
・永続的識別子と、コンテンツ保存のためのアーカイブプログラムに求められる要件を明確化すること
・メタデータに要求される水準を明確化すること
・テキストデータマイニングを可能とする機械可読フォーマットの採用がジャーナル等に対する要件となっているが、どのフォーマットであれば許容されるのかを明確化すること
・DOAJと緊密に協力し、Plan Sに適合したジャーナル等であることを示す表示(“seal of compliance”)を考案、維持すること
・APCの免除・割引に関する明確な規則を策定すること
・許容されるAPIの種類を明確化するとともに、OpenDOARと緊密に協力し、Plan Sに適合したリポジトリであることを示す表示(“seal of compliance”)を考案、維持すること
・決められた移行期間後にフルOAに移行しないジャーナル等に対する制裁内容を明確化すること
・Plan Sにおける出版物の登録に際し、適切なリポジトリがない場合の登録先リポジトリとして、さらには欧州における中央集約リポジトリとしてZenodoを指定し、サポートすること

PRESS RELEASE: Researchers Respond to Implementation of Plan S(Eurodoc, 2019/1/28)
http://www.eurodoc.net/news/2019/press-release-researchers-respond-to-implementation-of-plan-s

Joint Statement on Implementation Guidance for Plan S(Eurodoc)[PDF:2ページ]
http://www.eurodoc.net/sites/default/files/news/2019/01/28/attachments/jointstatementonimplementationguidanceforplans.pdf

参考:
cOAlition S、Plan Sの要件を満たすための手順をまとめた手引きを公表:フィードバックを募集中
Posted 2018年11月29日
http://current.ndl.go.jp/node/37124

欧州研究図書館協会(LIBER)、Plan Sの実現にかかる手引きに関する声明を発表
Posted 2018年12月7日
http://current.ndl.go.jp/node/37183

オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)、Plan Sの実現にかかる手引きへのフィードバックを発表
Posted 2018年12月14日
http://current.ndl.go.jp/node/37227

米国のハーバード大学図書館及びマサチューセッツ工科大学(MIT)図書館、連名でPlan Sの実現にかかる手引きへのコメントを発表
Posted 2019年1月29日
http://current.ndl.go.jp/node/37469