2020年6月23日、米国図書館協会(ALA)は、ウェブサイト上でトランスジェンダーの人々の諸権利を支持する声明を発表しました。ALAは声明の中で次のようなことを宣言しています。
・ALA、特にALA内でLGBTQIA+に関するテーマを扱うレインボー・ラウンドテーブルは、トランスジェンダーの会員・図書館員・著者・図書館利用者等と強固に連帯する立場にあり、社会正義に関与する組織として、あらゆる属性のトランスジェンダーの人々の支援を目指していること
・最高裁判所の最近の判決であらゆる人々の職場での公平な取り扱いが認められたことを歓迎し、トランスジェンダーの人々のアイデンティティや生活を脅かしたり、損なうことを意図したあらゆる発言・行動を断固として拒絶する姿勢をとること
・公平性・多様性・包摂性はALAの職務に組み込まれた概念であり、性自認(Gender identity)や性表現(Gender expression)に基づく差別は社会における健全性を損なうものであるという背景の下、図書館はトランスジェンダーの人々の安全と権利を積極的に支持・支援しなければならないこと
・トランスジェンダーの人々に対する暴力を非難し、暴力の犠牲となったトランスジェンダーの人々の死を悼むこと
・「第三の性(nonbinary)」を含む多様な性表現を性自認に関わりなく支持すること
・全ての図書館関係者へ、トランスジェンダーの人々に対して、当人らの希望する代名詞・名前によって呼称するように強く求めること
・図書館の運営者や職員へ、誰もが自身の性自認と一致した施設・プログラム等を利用できるように、男女の区別のない「ジェンダー中立な」トイレの設置など、多様な性自認に配慮した図書館環境の構築を推奨すること
・図書館員が学校で多様な性指向を持つ児童・生徒の擁護者としての役割を果たすことを奨励すること
・全ての会員・会員組織・広範な図書館情報学コミュニティの関係者・図書館組織に対して、社会正義に関する共通の枠組みの中へトランスジェンダーの人々の諸権利を組み込みつつ、こうした人々の権利の擁護に関心を持つ関係者を探し協力するように強く求めること
ALA statement affirming the rights of transgender people(ALA,2020/6/23)
http://www.ala.org/news/press-releases/2020/06/ala-statement-affirming-rights-transgender-people
参考:
米国図書館協会及びGLBTラウンドテーブル、トランスジェンダーを米軍から除外する政策に対して声明を発表
Posted 2017年9月6日
https://current.ndl.go.jp/node/34627
米国図書館協会(ALA)・北米研究図書館協会(ARL)、連邦政府による性別の定義変更の検討開始を受け声明を発表
Posted 2018年11月9日
https://current.ndl.go.jp/node/37008
オーストラリア図書館協会(ALIA)、「ドラァグクイーンによる読み聞かせ」を開催する図書館を支援するためイベント開催の様子を撮影した写真送付を呼びかけ:ブリスベン・スクエア図書館で発生した中傷による妨害への対抗として
Posted 2020年1月27日
https://current.ndl.go.jp/node/40061
渋谷区立笹塚こども図書館(東京都)、「ドラァグクイーンがやってくる★おはなし会と工作会」を実施
Posted 2020年2月14日
https://current.ndl.go.jp/node/40239